総じてGCC産油国が高い評価を得た世界経済フォーラムの「世界競争力報告書2009-2010年」
(2009年10月6日掲載)

 世界経済フォーラムが公表した「世界競争力報告書2009-2010年」(2009年9月8日発表)は、中東・北アフリカ地域はその他の新興経済諸国に比べて世界経済危機の影響が軽微であると分析している。このため、「世界競争力報告書2009-2010年」では中東・北アフリカ地域の大半の諸国が前年よりも評価を上げている。しかし、中東・北アフリカでも産油国と非産油国には大きな違いが見られるという。具体的には、原油価格の高騰による石油収入の急増した中東・北アフリカ産油国が、総じて競争力の改善に向けた改革を進めている反面、非産油国はやや遅れているという。

 中東・北アフリカ地域の中で、高い順位を得たのが改革国とされたカタール(22位)、UAE(23位)、サウジアラビア(28位)の3カ国である。カタールは豊富な天然ガス資源のお陰で世界金融危機の影響が小さく、2009年も名目成長率は18%に達すると予測されている。カタールは歳入の安定を背景に、今年度報告書でのマクロ経済の評価は13位と昨年度より6つ順位を上げている。マクロ経済上の大きな課題はインフレのみとなっている。同国は多くの点で正しい方向に向かっていると評価されている。この点は、制度枠組みの9位、商品市場の効率性の21位、労働市場の効率性の14位、最新技術への適応性での携帯電話普及率の2位、ブロードバンドの37位、外国投資に対する法律上の制限の緩やかさの13位などに表れている。但し、入学率の93位や投資家保護策の整備度の71位、法律上の諸権利の擁護度合いの98位などは課題とされている。

 UAEの世界順位は23位と中東・北アフリカでカタールに次ぐ第二位の評価を得た。UAEは公的債務の累増及び財政収支の悪化によりマクロ経済の安定性での評価は低かった。しかし、意外なことに金融市場の評価では昨年度より8つ上昇の33位と位置づけられた。同国で改善が必要とされているのは、中学校進学率の50位、高等学校進学率の81位、研究機関の質の53位、大学とビジネス界の連携性の39位などである。

 2006年に報告書に初登場後、着実に順位を上昇させているサウジアラビアは、今年度は28位にランクされた。特に、同国の場合、マクロ経済の安定性の9位の評価は特筆すべきものと言えよう。知的所有権での改善や腐敗の減少などから公的機関の順位も28位まで上がってきた。また、今年度の報告書はサウジアラビアのビジネス競争環境の改善が著しいと指摘している。反面、教育の質(74位)、小学校進学率(109位)、中学校進学率(45位)、高等学校進学率(72位)、労働市場の厳格性(71位)金融部門の信頼性(81位)などが、改善すべき点として挙げられた。但し、教育では、公的支出額は堂々世界の9位に位置づけられた。

(10月4日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)