サウジアラビアでの銀行業務部門を開始した野村ホールディングス株式会社
(2009年10月2日掲載)

 野村ホールディングス株式会社(以下、野村HDと略す)は「世界的な景気低迷を前にしても、サウジアラビアの銀行部門は保守的な環境や強固な基盤のために非常に魅力的である」(ロイター通信 2009年8月21日)と語り、サウジアラビアの銀行業務部門の開始に大きく期待していることを改めて表明した。野村HDは以前から、中東諸国とアジア諸国の金融分野における橋渡し的な役割強化の必要性を主張しており、サウジアラビア金融当局に対して証券業ライセンスの取得を申請していた。

 同社は2008年5月、サウジアラビアにおける証券業ライセンスを取得し、アジアの証券会社として初めて同国での認可を受けていた。尚、厳密に言えば、同社の欧州子会社がサウジアラビアより証券業ライセンスの認可を受けていた。その後、2009年7月、営業開始に必要な全ての認可を金融当局から取得しサウジアラビアでの実務を開始した。現地企業の資金調達やM&Aのアドバイザリー業務と富裕層向け資産運用業務などをビジネスの主軸とする予定である。

 野村HDは2008年、米金融大手リーマン・ブラザーズから欧州・中東・インド拠点を買収しており、湾岸諸国の高率な経済成長にビジネス・チャンスを見出している。特にサウジアラビアは、国土面積がGCC全体の84%、人口で69%、GDPで50%強を占めており、最新の金融サービスに対する需要も急増していることで知られる。野村HDは2009年8月19日、「サウジアラビアの金利水準は高めであるので、その分アドバンテージが高い」「我々は、銀行業務の収益に関して貸付部分が多くなければいけないと考えている」などと語っていた。

 サウジアラビア政府は、開発事業の継続、経済成長の維持を図るため、現時点から2013年までに4000億ドルの支出を行うと明言している。また、新規雇用の創出などを目的として、5つの経済・産業都市事業計画の実施も発表している。今回、営業を開始した野村HDほかの外国系金融機関は、こうしたサウジ政府の支援する事業向けの貸し出し業務に力を注ぐものと推察される。

 ちなみに、8月17日付の英紙フィナンシャルタイムズ(FT)は、サウジアラビアの資本市場規制当局者の話として、英銀バークレイズ<BARC.L>と仏銀ソシエテ・ジェネラル<SOGN.PA>も、サウジアラビアにおける投資銀行業務の認可を受けたと報じている。報道によれば、サウジ当局は年内に投資グループに対して、ETF(上場投資信託)の設立を容認する予定である。

(9月29日、記)
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(著述家 高橋大樹<たかはし・ひろき>)