UAEの自動車販売は2010年には好転し5%台の伸びと予測するドバイ商工会議所の報告書
(2009年11月4日掲載)

 ドバイ商工会議所の報告書では、UAEの自動車市場は、同市場の50%を占めるドバイでの販売不振により低迷している。但し、短期的な自動車販売の状況は良くないものの、2010年には銀行の貸付条件の改善もあり5.9%の伸びとなると予測している。

 以下では、UAE自動車市場の現状と今後について、2009年10月9日付のガルフ・ニュース紙が、UAEの大手ディーラーであるアラビアン・オートモービル社(AAC)のマイケル・アヤット社長に行ったインタビュー記事の要点をご紹介することとしたい。同社はドバイおよび北部首長国における日産自動車とルノー社の販売特約店である。アヤット社長は同社の社長を15年も勤めており、また自動車業界でも25年の経験を持つ業界の第一人者であると同時に、同社の年間売上げを4倍増にした辣腕経営者でとしても知られる。


自動車市場の直近の状況

 2009年第3四半期は第2四半期と比べると改善している。第1四半期は、経済の打撃によって、販売は50%以上落込んだ。第2四半期はレイオフも一段落して消費者心理に余裕が生まれたようだ。第3四半期は低調であるが最悪期を脱した。現時点では、販売は不振だが第4四半期の改善を期待できる。


同社の本年の業績見通し

 自動車市場が47%近く落込んでいるなかで、我が社は健闘している。我が社はこの時期でも市場占有率を伸ばしている。この業界は市場占有率を確保することがなにより重要であるから、我が社にとってはプラス材料である。事実、我が社は2009年のディーラー・チャンピオンに輝きブランド力をつけている。販売不振をアフターサービス部門が埋め合わせている。同部門の売り上げは好調で30%増となっている。


高級車対中級車の販売状況

 新車市場では両車種とも同じ状況で経済危機の影響を受けている。中古車市場では高級車よりもCセグメント(小型ファミリー・カー)、Dセグメント(大型ファミリー・カー)の需要が強い。新中古車を含め売上げは44%落ちている。但し、高級車の落込みは35%にとどまっている。高所得層は、低所得層より不況の影響を受けていいないので高級車を購入する。高級車の中には価格を2008年より下げているものがある。これが高級車の購入に向かわせている要因である。


在庫状況

 在庫は2008年より多いく、これが値引き圧力となっている。通常ならば3ヶ月から4ヶ月の在庫量だが、現在の市場では15ヶ月から16ヶ月の在庫を抱えている。我が社は2008年のモデルは全て販売済みである。我が社は値下げ幅を10%に抑える代わりに、自動車保険や保守サービスを無料にしたりしている。


自動車ローンの現状

 与信審査が厳格に行われており、誰もがローンを組める分けではない。以前はショールームで即決していた。今は、銀行の審査部の承認が必要になっている。これまでは、販売の80%が銀行ローン付であった。当社は8行と取引があり申し分ない金利を提示されている。自動車ローンの貸し出しは徐々に改善している。


今後の事業計画について

 我が社の営業戦略は事業の拡大である。自動車関連製品分野の事業を拡大している。我が社の新会社、AWロスタマニ・トレーディング(AWT)が、自動車用バッテリーの販売でトルコのプラティン・バッテリー社と、また潤滑油の販売でフランスのトタル・ルブリカントと販売代理店契約を結んだ。タイヤ販売でも近々代理店契約を結ぶ予定である。

 UAE以外での海外展開も検討中で、イラクの他に2カ国への進出を検討しており、2009年末までに決定する予定だ。我が社の傘下に別会社をつくり、取扱いメーカーを2社加える計画をもっている。これも2009年末までに結論を出す予定である。


UAEにおける事業計画

 2010年度には7億5,000万Dhの投資計画を決めている。一部は既に着手されている。我が社は2009年6月にフジャイラに3,500平米と最大規模のショールームを完成させた。日産自動車の“インフィニティー”専用のショールームをシェイク・ザイード・ロードに開く工事も始めている。工期は15ヶ月と見ている。我が社はドバイ・インダストリアル・シティに3百万平米の流通センターの整備を行っている。アジャマンとウム・アル・クワインにある流通センターの改修工事も行っている。


イラク市場での事業計画

 イラクの市場規模は大きいので然るべきディーラーと組んだショールームのネットワーク網の整備が必要である。我が社は投資を継続する方針である。最初のショールームをイラク北部にオープンさせ、2009年8月から営業を始めている。もう1店のショウルームが2009年11月からバクダットで営業を開始する予定である。順次ショールームをオープンしていく。イラクには18州あるので、18社からなるディーラー網を築く予定である。我が社は、3年以内にイラクでの営業体制の確立を見込んでいる。車はドバイから直接船積みしている。


2010年の販売見通し

 引続き銀行の貸出し姿勢が問題となるが、今までとは変わってくるだろう。我が社の2008年の成長率は34%であったが、2009年に入ってからは19%へとやや低下している。2009年前半のような二桁の成長は見込めないだろうが、2010年の成長率も5%を下回ることはないだろう。

(10月31日、記)
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(中東問題研究家 江添久義<えそい ひさよし>)