国際原子力機関(IAEA)の提案に反対するイラン保守派とイランの対応に不快感を示す欧米諸国
(2009年11月4日掲載)

 国際原子力機関(IAEA)の提案へのイランの正式な回答が遅れる中、ロンドンの国際戦略問題研究所(IISS)の非拡散の専門家であるマーク・フィッチパトリック上級研究員は「イランの指導層は、国際原子力機関(IAEA)の提案が自分たちとって良いものであるとしても、西側諸国との取引が難しいことを悟りつつある」「回答は止まっているが、イラン政府が戦術的に止めているわけではない」「イラン国内に混乱があるのだ」(ガルフ・タイムズ紙 2009年10月31日)と解説している。

 実際、イラン国内では、例えば、アラッディン・ボルージェルディ国会国家安全保障・外交政策委員会委員長が「我々は濃度3.5%の濃縮ウランと濃度20%との交換との提案に全く反対である」「我々が低濃度の濃縮ウランを移送したとして、彼らが濃度20%の濃縮ウランを供給するとの保証はどこにもない」(同上)と語り反対であることを明言している。同様に、カゼム・ジャラリ同委員会広報官も「我々には濃縮ウランの全量を他国に移送するとの要請は全く問題外である」(同上)と述べ、やはりIAEA案は受け入れられないことを強調した。

 一方、欧州諸国はイランの時間稼ぎとも思える回答に苛立ちを高めている。EUはイランのウラン濃縮と国際的責務の不履行への懸念を表明する声明を準備中と伝えられる。また米国のクリントン国務長官は、2009年10月31日、訪問中のイスラエルで、「(我々の)忍耐も最後には限界となる」「イランがIAEA案を受け入れれば良いはじまりとなる」と述べ、改めてイランにIAEAの受け入れを強く迫っている。

 こうした中、米国諜報界はオバマ政権が米国の戦略石油備蓄(SPR)を使用する承認を秘かに議会に求めていることを明らかにした。さらに、イスラエルではイランによるミサイル攻撃などを想定したとされる米国との合同軍事演習「米国・イスラエル・ジュニパー・コブラ・ボリスティック」が展開されており、2009年10月28日にはテルアビブ地域での防空演習が繰り広げられた。このほか米国、イスラエル筋が、両国は軍事的選択肢を排除したわけではないことをロシアに改めて通知したとも言われる。

 イラン政府当局者は2009年10月30日、前日の29日に行ったIAEA宛の返答は前向きの返答を示したのみで最終回答ではないとの姿勢を明らかにしている。残された時間がいよいよ限られてきただけに、イランの次の言動がますます注目されるところである。

(11月2日、記)
<関連情報>

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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)