閣僚ほかの政府高官の不正追及に動き出したイラクのマリキ首相と国民議会
(2009年5月26日掲載)

 イラクのマリキ首相と議会が閣僚ほかの政府高官の不正の追及に動き出したようだ。ある議員は汚職や失政の疑いで10数人の閣僚への国会での質問や調査が行われようとしていると述べている。イラクの国会議員たちは、総選挙の前に如何に自分たちが国家・国民のために活動しているのかを示そうと努めているが、その一つが政府資金の不正使用や賄賂の取得などの噂される閣僚の追及・調査である。


 マリキ首相が2009年1月に行われた先般の地方議会選挙で勝利しえたのは、治安の改善をもたらすと共に、法による支配を行おうとしているとの印象を有権者に与えたからであった。この選挙での勝利以降、マリキ首相は国民の支持をつなぎとめる次の手段として政府要人の汚職・腐敗問題に焦点を当てることとし、これによって政敵を牽制しつつ要職の入れ替えを進めることに成功している。


 最近イラクで最も目立った汚職がらみの事件が発生したのは貿易省においてであった。同省では9人が不正の疑惑をかけられたほか、ファラフ・アル・スダニ貿易相自身も捜査の対象となっている。一時行方が不明とされ国外逃亡を企てているのではと噂された同相は、議会で不信任投票にかけられる可能性が高まっている。このため同相は、同投票までの自発的な辞任に同意したと伝えられる。但し、仮に辞任したとしても同相の刑法上の容疑が晴れるわけではない。


 この貿易省での騒動は新たな動きの始まりを告げるに過ぎないようだ。イラク国会の議員たちは、財政の管理・運営に失敗しただけでなく、石油開発を遅らせ石油輸出の減少を招いたとしてフセイン・アル・シャハリスターニ石油相を参考人として召還し厳しく追及する構えを見せている。但し、アッセム・ジハード・イラク石油省報道官は、この噂を否定すると共に、仮に召還されればシャハリスターニ石油相は出席する用意があると述べ、何ら同相及び同省に政策上の不手際はなかったとの姿勢を貫いている。


 イラクの議員たちはシャハリスターニ石油相以外の閣僚の国会召還も考えているようで、各議員が召還すべきと考える閣僚に関するそれぞれ異なるリストを持っているといわれる。そうであるとすれな、表面的には不正の取り締まり、腐敗の追及に見えるこの動きも、結局、国内政治における権力闘争の延長に過ぎないのかもしれない。何れにせよ、省内から9人も逮捕対象者を出してしまったファラフ・アル・スダニ貿易に対するイラク議会の追及振りが当面の焦点となりそうだ。

(5月25日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)