UAE国内の糖尿病患者情報のデータ・ベース化・専用ウェッブ・サイト開設で尿病対策を一段と強化するアブダビ保健庁
(2009年5月22日掲載)

 アブダビ保健庁は、2009年末までにUAE初となる国内の糖尿病患者のデータ・ベースを完成して、専用ウェッブ・サイトで患者情報のほか病気、治療法、予防についての関連情報も提供する方向で整備を進めている。このため医療関係者にオン・ラインで患者情報の登録を求めている。


 アブダビ保健省が運営するウェッブ・サイトにおいては、医療関係者には専用のログ・イン・パスワードが与えられ患者の病歴、経過情報などにアクセスできるほか、最新の治療ガイドラインなどの医療情報も入手できるようにする。他方、一般国民向けにも、糖尿病につての情報提供を行う。さらに、医療関係者には、専門家が情報交換できる医療フォラムの場もウェッブ・サイトで提供する計画である。


 これらはアブダビ保健庁の糖尿病撲滅10年計画の一環として行われるもので、UAEのデータ・ベースが完成すれば、国家が糖尿病患者情報を集約して一元管理を行う世界でも初の試みとなろう。アブダビ保健庁は、こうして収集した情報をUAE連邦政府としての糖尿病対策にも役立てるとしている。UAEでは5人に1人(人口の19.6%)が糖尿病を患っているといわれ、患者数は世界2番目の多さである。しかも、糖尿病の患者数の増加に歯止めがかからない状況にある。アル・クタミUAE保健相は、当面の取り組み目標として、年間の患者数を1%~2%引き下げたいと語っている。


 データ・ベースには、UAEにおける糖尿病患者数から、個々の患者の体重、処方薬、薬歴、合併症の有無、食事制限、検診記録、さらに家族の病歴などの広範に亘る個人情報が収集される。当然ながら、これらの情報にはログ・イン・パスワードを持つ医者にしかアクセスできない。むしろ問題は、医療関係者からウェッブ・サイトに患者情報の提供の協力が得られるか否かである。今回のアブダビ保健庁の新制度では、医師に患者情報登録義務が課されているわけではなく、あくまで任意での参加を求めているに過ぎないからだ。


 アブダビ保健庁は国内の公立・私立の医療機関から400人~500人の医師の参加を見込んでおり、ウェッブ・サイトの有効利用・活用方法について医師向けの研修プログラムを用意するなど広報活動の準備に余念がない。果たして思惑通りのデータ・ベースが完成するか注目される。同時に、中東湾岸でのビジネス機会をうかがう我が国の医療・保健関係企業にとっても、アブダビ保健庁の試みは今後の事業展開を考えるに当たりヒントとなりそうだ。

(5月20日、記)
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(中東問題研究家 江添久義<えそい・ひさよし>)