投資会議「開かれたビジネス(Open for Business)」をロンドンで開催したイラク政府
(2009年5月8日掲載)

 イラク政府は2009年4月30日、ロンドンで英国からの200人を含む450人の参加を得て投資会議「開かれたビジネス(Open for Business)」を開催した。マリキ・イラク首相は同会議で、以下のように語り各国から参加したビジネスマンに機会を失わぬよう早期に投資することを求めた。


イラクは外国からの投資の促進に向けて国民投資委員会を設立し、投資法を制定し議会の承認を得た。
イラクは、農業・電力・教育などの様々な経済分野への外国投資家の参加を期待する。
イラクは、外国投資家にイラク投資が魅力的となるように経済改革を行っている。
イラクでは、今後、投資分野において民間部門が重要な役割を果たすであろう。
イラク石油産業の再建に向けた英国エネルギー企業の進出を歓迎したい。


 他方、英国のダグラス・アレクサンダー国際開発相は「イラクへの投資や貿易の拡大は英国にとって重要な優先課題である」「それ故、英国から世界的企業200社が今回の会議に参加した」と述べ、英国政府としてもイラクの事業機会に期待していることを明らかにした。尚、2009年4月30日、マリキ・イラク首相と会談したブラウン英首相は、今後イラク政府と訓練やイラク石油の供給の保護などに関する協定に調印することへの期待を表明した。バスラに駐留していた英軍は同日で任務をイラク軍、米軍に引き継いで終了し、イラク軍の訓練を行う約400人を除いて撤退する。


 ところで投資会議「開かれたビジネス(Open for Business)」に参加したビジネスマンは、次のように述べ、事業機会を逃がさないようにはするものの基本的には慎重に対応する姿勢を明らかにした。


今回の投資会議でも明らかにならなかったのは、イラク政府が投資に必要な譲歩を本当に行うのか否かである。
特に今後イラクで活動することになると思われる外国石油企業が、どのように取り扱われるようになるのかをもっと明確にする必要がある。
肝心の石油法の議会承認が3年も遅延しているのだから、疑って掛かる理由は十分にある。
治安は改善してきたものの、一直線によくなっているわけではない。
シーア派、スンニ派、クルド人の間に主要な合意がない状況では、依然不安定と見ざるを得ない。


 このほかバルハム・サーレーハ・イラク副首相は、イラク財政の現状や今回の投資会議の印象について以下のように率直に語っていた。


国際金融危機はイラク財政に深刻な影響を与えており、歳出の削減を余儀なくされている。
イラクは2009年3月、今年度の予算上の歳出規模を約25%削減して約600億ドルとしたが、それでも今年度は200億ドルの赤字となろう。
繰越余剰金があるので2009年は何とか運営できるが、2010年はそれもなくなるので厳しい年となろう。
但し、この国際金融危機は、石油生産インフラの改善に取り組むことを余儀なくすると共に、経済の多角化の必要性を認識させた点でイラクにはプラスの面もあった。
イラク政府は経済多角化の一環として農業開発に焦点を当てている。
今回の投資会議での投資家の関心は、①法的枠組み、②治安状況、の2点に絞られていた。


 因みに、英国の航空会社「bmi」は投資会議の終了後、政府の承認はまだ得ていないとしながらも、英国・イラク直行便の開設を検討していることを明らかにした。

(5月2日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)