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| (2009年3月27日掲載) |
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欧州自動車大手のダイムラー(独)は、2009年3月22日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国のアブダビ政府系投資会社アーバル・インベストメンツが増資を引き受け、同社の筆頭株主となることを明らかにした。アーバル・インベストメンツは、ダイムラーが2009年4月上旬に開かれる株主総会の終了後に発行する新株について、1株当たり20.27ユーロで合計9640万株(合計19億5000万ユーロ、約2600億円)取得し、持ち株比率9.1%の筆頭株主となる。これまで持ち株比率7.6%で筆頭株主であったクウェイトは同比率6.9%で第二位の株主となる。尚、取得価格1株当たり20.27ユーロは、3月27日の同社の終値21.34ユーロを僅かながら下回る価格であった。尚、ダイムラーは過去1年で株価が約60%低下するなか、安定的な大株主がいないことから敵対的買収の危険に晒されてきた。 ダイムラーとアーバル・インベストメンツが出した共同声明は、資金の注入はダイムラーの健全な資本基盤を強化し追加的な自動車新技術への投資に柔軟性を与えることになると述べ、今回のアーバル・インベストメンツによるダイムラー株の取得がもたらす成果を強調した。国際金融危機を発端とした世界不況により欧州の自動車販売は激減しており、2009年2月の販売台数も対前年比18.3%の減少を記録している。 かつてはアーバル石油投資社(Aabar Petroleum Investments Company)と呼ばれていたアーバル・インベストメンツは、アブダビの政府系ファンドのアブダビ投資社(ADIC)とムバダラ開発社が2005年に主に東南アジアの石油・ガス探査事業を行う企業として設立した企業であった。しかし、同社が所有していた中核部門のパール・エネルギー社やダルマ・エネルギー社は2008年に売却され、その後、我が国のコスモ石油の大株主としても知られる国際石油投資社(IPIC)の傘下に入り、不動産投資や金融サービス投資に特化してきた。最近もAIGプライベート銀行部門を4億700万スイス・フラン(約3億6370万ドル)で取得したほか、イタリアの有料高速道路の運営体であるアトランティア(Atlantia)の株式の3.3%を取得している。但し、アーバル・インベストメンツの総資産は9億2200万ドルと小さく、時価総額も15億8000万ディルハム(約4億3000万ドル)に過ぎない。 尚、今回の取引について、ツェッチェ・ダイムラー社長は「我が社の戦略を支持してくれる新たな大株主としてアーバル・インベストメンツを歓迎する」と語り、新筆頭株主の誕生を喜んでいる。他方、カデム・アル・クバイシ/アーバル・インベストメンツ会長兼IPIC常務取締役は「こうした投資の機会を得たことを喜んでいる」と述べ、やはり喜びを素直に表明している。両社は、①二酸化炭素の排出削減につながる電気自動車の開発、②車体の軽量化につながる革新的新素材の開発、③アブダビの若者を自動車産業向けに訓練する社会事業、の3点で今後協力を強化して行く。 アブダビ首長国は、一足先に各種開発事業に乗り出したドバイ首長国と同様に、観光振興、スポーツ催事、自国航空路線の拡充、金融強化に加えて、映画・メディア産業の誘致、美術館の設置など、独自の路線も敷いてきた。しかし、何といってもアブダビの開発戦略で注目されるのは、製造業に力を入れている点である。今回のダイムラー株の取得もその一環だが、これまでにもGE,ロールス・ロイス、EADS、アドバンスド・マイクロ・ディバイス(AMD)などに投資している。単に消費するだけでなく、もの作りに関わるとのアブダビの戦略とも密接に絡んだ今回のダイムラーへの投資であった。 |
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| (3月26日、記) |
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| <関連情報> ●インドネシアの石炭開発インフラ整備に15億ドル投資するUAEのラス・アル・ハイム首長国【3/27】 ●社会保険庁'GOSI)の傘下に新たな投資基金「ハッサナ投資社」を設立するサウジアラビア【3/27】 ●カナダのプラスチック・化学品企業ノバ(Nova)を5億ドルで買収したアブダビの政府系ファンドIPIC【3/27】 ●いよいよ西側先進国向けの投資を本格化させるリビアの政府系ファンド【3/19】 ●海外投資を6ヶ月間停止すると共に今後投資の焦点をエネルギーや商品に移すことを明らかにしたカタール投資庁【3/17】 |
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| (幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>) |