ハンニバル・カダフィ氏夫妻を巡るリビアとスイスの争いで調停役を申し出たイタリア
(2009年3月27日掲載)

 イタリアが、ハンニバル・カダフィ氏夫妻を巡るリビアとスイスの争いで調停役を申し出たことが2009年3月23日に明らかとなった。イタリアのフランコ・ファッティニ外相が、スイスのミシュリーン・カルミ・レイ外相との会談後、「リビアと特別な友好関係を持つ我が国が調停役を果たしてもよい」と語ったもの。周知のように、2008年7月、ハンニバル・カダフィ氏夫妻が、宿泊していたジュネーブのホテルで2名の使用人を殴打したとして一時的に逮捕される事件が発生した。夫妻はその後釈放されリビアに戻ったものの、リビアによるスイスへの原油輸出の停止、スイスの銀行からの資産70億ドルの引き出し、リビア国内のスイス企業職員の拘束といった報復的な措置が打ち出されてきた。


 リビア政府は事件の最終解決策として、スイスに対して逮捕にあたった当局関係者の処罰を求めたいたものの、スイスのミシュリーン・カルミ・レイ外相は2009年3月23日、スイスがリビアにこうした措置を講じなくてはならない理由がないと述べ、拒絶している。ミシュリーン・カルミ・レイ外相及びジュネーブ地方政府高官は、共に、逮捕時にスイスの警察官は間違った行動をしていないのだから、リビア側がスイスに補償を求めることなど考えられないと述べている。


 スイスのミシュリーン・カルミ・レイ外相とセイフ・イスラム・カダフィ/カダフィ国際開発基金総裁は、2009年1月下旬、ダボスで開かれた世界経済フォーラムの場を利用して収拾策を協議していた。2009年3月22日のNZZ am Sonntag紙は、スイス側はそこで警察官の言動を改善するよう訓練するとの覚書を提案したが、リビア側がこれを拒否している。リビアの欧州担当の外副大臣は、リビアはスイス政府からの謝罪と逮捕に当たった警察官の処罰を求めるとしていた。さらに、リビア側のチャールズ・ポンセット弁護士は、逮捕の件でジュネーブ当局を告訴する方針であることを明らかにしている。


 他方、ジュネーブ当局は、世界のその他諸国と比べてもジュネーブの司法制度は国籍や貧富を問わず平等に適用されている点を強調している。その上で、仮にハンニバル・カダフィ夫妻がカダフィ大佐の子息でなければ2週間は拘束されていたであろう事を説明し、取り扱いが公平でなかったというならばハンニバル・カダフィ夫妻にとって好都合な不公平であったと説明を加えている。

(3月26日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)