流動性注入へ国内銀行から保有株式を購入したカタールと公的機関による資本注入を示唆したサウジアラビア
(2009年3月24日掲載)

国内銀行から保有株式を購入したカタール


 カタールのシェイク・アブドゥラ・ビン・サウド・アル・サーニ中央銀行総裁は、2009年3月20日、国内上場済みの銀行の保有する株式から65億QRを買い上げる措置を前日(3月19日)終了したことを明らかにした。中央銀行の報道官も、同総裁の発言内容を確認した。

 カタール政府は、2009年3月10日、国内銀行の融資活動を容易にすることを目的として、政府系ファンドに対して国内銀行の保有する株式を購入するよう要請していた。また、カタール政府は、2008年10月、53億ドルの緊急救済計画の一環として政府系ファンドが国内銀行株の10~20%を購入すると発表していた。今回の買い上げでは、カタール政府はイスラム系銀行に対しては購入額の全額を現金で支払ったものの、普通銀行については一部を現金で支払い残額分は期間5年の財務省証券(QR建)で支払った。


公的機関による資本注入を示唆したサウジアラビア

 サウジアラビアのイブラヒム・アル・アッサーフ財政相は、2009年3月12日、銀行の貸し渋りで資金繰り難に喘ぐ国内企業を救済するために、国営投資基金による資金注入を行う考えを明らかにした。具体的には、例えば、国内の主要企業の株式も保有する公的投資基金(the Public Investment Fund、PIF)によるこれら企業への融資が一つの方法である。尚、産業開発基金(the Industrial Development Bank)などは、既に国内の中小企業向け融資を増加しつつある。

 Sambaの推計では、サウジアラビアの民間部門向け融資は、2008年下半期に上半期に比べて比率を1ポイント低下させた。また、同行は、2009年2月末時点では、サウジ国内の各種の事業のうち約390億ドルが凍結乃至キャンセルされていると推定する。但し、イブラヒム・アル・アッサーフ財政相は、サウジ政府が、今後5年間の計画であるインフラ及び石油関連投資の4000億ドルを予定通り実施すること決定していると明らかにした。さらに、同相はサウジアラビアの2008年の石油収入が2930億ドルに達しており、これら投資を十分賄えると説明した。

 ところでIMFへの出資増について問われたイブラヒム・アル・アッサーフ財政相は、同国がかねてから国際金融機関における途上国の株式保有比率の引き上げ及び投票権限の拡大を求めていることを挙げ、途上国のクウォータ枠の引き上げは当該国の能力と意思によるべきであると答え米英等による一方的な出資増の要求をけん制した。

(3月22日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)