イラク駐留米軍の撤退戦略を明らかにしたバラク・オバマ米大統領

(2009年3月3日掲載)

 バラク・オバマ米大統領は、2009年2月27日、ノースカロライナ州の米海兵隊基地(キャンプ・レジューン)で演説し、イラク駐留米軍戦闘部隊10万人前後を2010年8月31日までに撤退させ、戦闘任務は終了すると述べた。また、その後も残留する非戦闘部隊も2011年末までに完全撤退させる意向であることを明らかにした。当日のバラク大統領の演説の要点を紹介すれば以下の通りである。


駐イラク戦闘部隊のイラクからの責任ある撤退を行い、2010年8月31日までに戦闘部隊の任務は終結する。イラク治安部隊の訓練・装備・助言、対テロ戦闘任務、在イラク米国外交施設・要員の防護などのために3.5万人から5万人をイラクに残留させるが、2011年末までにイラク駐留全米軍を撤退させる。

米国は中東地域への包括的関与を行い、イラク及び中東の安定化を促進する新たな枠組みを構築するほか以下も行う。それらは、イラン、シリアを含む全中東周辺国との対話の推進・パキスタン及びアフガニスタンのアルカイダの再焦点化・イランによる核兵器開発の阻止・イスラエル・アラブ和平の追及、である。

軍人の負担減に向けて兵士数を増加する。また心的外傷後ストレス障害(PTSD)や脳損傷(TBI)などの戦争による怪我の特定・治療方法への投資を実施する。


 元々オバマ大統領は、16ヶ月以内、従って2010年5月まででの戦闘部隊の撤退を主張していた。しかし、イラク駐留米軍のオディエルノ司令官がイラク国内の治安を保つには今少し猶予が必要として23ヶ月以内、従って2010年末までの撤退案を示していた。結局、米軍とイラク市民の安全を考慮するとの言い回しで、中間案の19ヶ月以内、従って2010年8月末まででの戦闘部隊の撤退に落ち着いた。


 ここに来て地方議会選挙が無事実施されるなど、イラクの治安は相対的に安定している。しかし、米軍の戦闘部隊の2010年8月末での撤退が明らかにされたことで、逆に、宗派・民族対立が激化することや隣国イランの干渉が再び増す事態もなしとはしない。こうした懸念が残るためか、ゲーツ米国防長官は、2009年2月27日、記者団に、米軍の最終撤退期限である2011年末を過ぎても小規模の米軍がイラクに残留する構想について言及している。

(3月1日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)