サウジアラビアの名門アフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザース向け融資で貸し倒れ引当金の計上の基準を明らかにしたUAE央銀行
(2009年7月31日掲載)

 UAE中央銀行は2009年7月23日、国内の銀行に、サウジアラビアの名門アフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザースとサード・グループ向け融資に関する貸し倒れ引当金の計上の基準を明らかにし、今後2年で融資額の最大75%を計上するよう指示した。UAE中央銀行は、それに先立つ2009年7月16日、国内の銀行と会合を開き、サード・グループとアフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザース向けの各行の融資額について聴取していた。

 2009年7月16日のUAE中央銀行との会合に出席したバンカーは匿名を条件に、「中央銀行のガイドラインによれば、銀行はアフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザース向けの融資については今後2年間で融資額の50%を貸し倒れ引当金として計上せねばならず、サード・グループ向けの融資については同期間に融資額の75%を貸し倒れ引当金として計上せねばならない」「基本的に各行は、2009年中に、アフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザース向けについては融資額の25%を、またサード・グループ向けについては融資額の37%を計上する必要があり、2010年も同様である」とUAE中央銀行の作成した貸し倒れ引当金の計上基準を説明した。

 この基準を受けてアブダビ商業銀行は、2009年第2四半期分として6億1300万ディルハム(約1億6690万ドル)を貸し倒れ引当金として計上した。因みに、同行の前年同期の同引当金は1億6000万ディルハムに過ぎなかったので約4倍になったことを意味している。またアブダビのユニオン・ナショナル銀行(UNB)は2009年7月24日、巨額の引当金の計上の影響によるものか、第2四半期の純利益が36%も減少したことを明らかにした。UNBは平素から融資に関してはUAE、特にアブダビの銀行としては手堅いことで知られてきただけに、金融関係者は同行の純利益の激減に驚いている。さらに報道によれば、時価総額では小体のアブダビ・イスラム銀行のサード・グループへの融資額が2億4500万ディルハム(6670万ドル)に達する模様だ。因みに、同行は第2四半期にも第1四半期と同額の6億6470万ディルハムの貸し倒れ引当金を計上している。

 格付け機関のスタンダード&プアーズは、GCC諸国によるアフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザースとサード・グループ向け融資総額は30行で96億ドルと推計している。ただし、サウジアラビアの消息筋は、約80の中東及び国際的銀行からの両社の借入額は少なくとも157億ドルに達するとしている。

 今回のサウジアラビアの名門アフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザースとサード・グループのデフォルト騒ぎと不正株式の容疑をかけられハゼム・ハーリッド・アル・ブライカン最高経営責任者(CEO)が自殺したアル・ラヤ投資社(クウェイト)の事件を契機に、GCC諸国の企業の財務面ほかの情報公開と透明性の確保の必要性が改めて浮き彫りとなっている。また、名門家系であるということでのみ行ってきた融資についても見直すべきとの論調も増えている。


(7月28日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)