米国の電気自動車ベンチャー企業のテスラ・モーターズ株を取得したアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツ
(2009年7月17日掲載)

 ダイムラーの筆頭株主であるアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツは、2009年7月13日、米国の電気自動車ベンチャー企業のテスラ・モーターズ株を取得したことを発表した。ダイムラーとアーバル・インベストメンツが合意したもので、ダイムラーが10%を保有するテスラ・モーターズの株式の40%をアーバル・インベストメンツが得るもの。従って、アーバル・インベストメンツの保有するテスラ・モーターズ株の保有比率は、40%×10%で4%となる。

 カデム・アル・クバイシ・アーバル・インベストメンツ会長は今回の取引について次のように語り、環境に優しい技術の取得に動くアブダビの方針を確認した。

我が社が協力をしようとしている分野は、電気自動車の開発や温暖化ガスの削減を目指す事業である。
我が社とダイムラーによるテスラ・モーターズへの共同投資は、この戦略に即したものであり、我々のパートナーシップの継続的発展にとり重要な一里塚を成す。

 周知のように、2009年6月下旬に「国際再生可能エネルギー機関(IRENA)」の本部の招致に成功したアブダビ首長国は、温暖化ガスの排出のない都市として「マスダール・シティ」の建設に努めるなどクリーン・エネルギー開発への投資を強化している。尚、ダイムラーは2009年5月にテスラ・モーターズ株の10%を取得していた。同株の取得に伴いダイムラーはテスラ・モーターズと、バッテリー・システムの開発等を共同で行うことを合意していた。ダイムラーはロンドンで電気自動車の「スマート・フォー・ツウ」自動車の走行試験を行っている。同社は同車種を2009年中にフランスのハンバック工場で1000台製造することを目指している。

 カリフォルニアに本拠を置くテスラ・モーターズは、スポーツ・カー型のロードスター電気自動車の開発を進めているがこれまで赤字を計上し続けてきた。もっとも米エネルギー省が先般、日産自動車やフォード自動車と共に、同社に対して次世代自動車開発資金として4億6500万円の融資を行うことを決定しているので、今後は多少資金面で余裕がでてこよう。テスラ・モーターズは同資金のうち3億6500万ドルをモデルSのエンジン製造・組み立てに充当し、残る1億ドルについては650人を雇用するカリフォルニア・パワートレイン製造工場向けに使用することを明らかにしている。テスラ・モーターズは順調に進めばモデルSを2011年から販売したいと考えている。因みに、モデルSは7人乗りで1回の充電による走行距離は300マイル(480km)を予定している。また販売価格は、連邦政府による電気自動車優遇金の7500ドルがあるため4万9900ドルを予定している。

 因みに、テスラ・モーターズのレイチェル・コンラッド広報部長は、「今回の投資は、電気自動車の開発を含む戦略的イニシアチブを共同で進めるとのダイムラーとアーバル・インベストメンツの発表に合致するものである」(AP通信 2009年7月13日)と語り、歓迎している。


(7月14日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)