カタール投資庁とフォルクスワーゲンの双方がそれぞれ条件を提示し複雑化してきたポルシェ株の取得の動き
(2009年7月17日掲載)

 遅くとも2009年7月上旬には決着すると見られていたポルシェ株の取得の動きは、カタール投資庁とフォルクスワーゲンの双方がそれぞれ別の条件を提示するなど複雑化の様相を呈してきた、最終的にはポルシェのウォルフガング・ポルシェ監査役会会長が呼びかけた7月23日に開催予定の監査役員会で決まる見込みだが、以下では、2009年7月12日夕刻時点(日本時間)での状況をまとめておくこととしたい。

 2009年7月11日付のドイツのシュピーゲル誌は、「カタール投資庁が、ポルシェ自動車ホールディングスの株式の25%及び現在ポルシャが保有するフォルクスワーゲン株に転換なオプション分を合わせて70億ユーロ(約95億ドル、約9025億)で購入するとの申し出を行った」と報じた。さらに、同誌は、「他方、フォルクスワーゲンは既に行っていたポルシャ株の49%の購入に加えて、合計40億ドル超を支払うとの提案を行ってきた」と報じている。消息筋は、ポルシェが2009年7月23日に臨時の監査役員会を開いて双方の提案を議論することを決めたとしている。この消息筋は、ポルシェの経営陣は既にカタール投資庁との交渉を終え、カタール投資庁との取引の内容を監査役員会に説明する準備を終えたと解説している

 仮に、フォルクスワーゲンによるポルシェ買収提案が認められれば、フォルクスワーゲン監査役会会長でポルシェ共同所有者のフェルディナント・ピエヒ氏の力が相当強まることを意味する。反対にカタール投資庁による買収提案が通れば、ポルシェのウォルフガング・ポルシェ監査役会会長の力が強まりポルシェによるフォルクスワーゲン買収の可能性がぐっと高まり、ひいてはポルシェのウェンデリン・ウィーデキングCEOがそのまま現職に留まることが出来るようになる。

 カタール投資庁による提案が監査役員会で承認された場合、ポルシェ社及びピエヒ家は同社に対する圧倒的な経営権を失うことになる。しかし同時に、新たな資金の獲得で債務を半減できるほか、フォルクスワーゲンとの関係ではウェンデリン・ウィーデキングCEOの力を著しく高めることになる。

 最新の動きについて、ペイク・フォン・ベステンボステル・フォルクスワーゲン広報部長も、セバスチャン・ホイル・カタール投資庁報道官も、何らコメントしていない。ただし、ポルシェのフランク・ガウベ広報部長は2009年7月10日、同社にとって依然目標はフォルクスワーゲンとの統合化された集団の創設であると説明している。


(7月12日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)