GCC諸国の建設・不動産部門に「安定的」の評価をつけたロンドンに本拠を置く格付会社フィッチ(Fitch)
(2009年1月23日掲載)

 GCC諸国は過去数年、原油価格の高騰を背景に巨額の在外資産を積み上げてきた。しかし、国際金融危機の深刻化による世界経済の減速とこれに起因する油価の低下及び原油需要の減少は、高率を続けてきたGCC諸国の経済成長率や急拡大してきた建設・不動産活動を鈍化させつつある。特に、GCC諸国の経済環境が悪化し流動性不足が顕在化するにつれて、これら諸国の建設・不動産部門も新規事業の見直しを迫られ始めている。


 こうしたなかロンドンの格付け会社フィッチ(Fitch)は次のような見方を示し、GCC諸国の建設・不動産部門に「安定的」の評価をつけた。


GCC諸国の不動産部門の落ち込みの程度や厳しさは国ごとに異なる。
GCC諸国所在の我が社の格付け対象企業の大半は、完全に、或いは部分的に各国政府の所有下にあるので、必要となれば各国政府の支援を当てに出来る。
(従って)これら各社の格付けも、各国の格付けの変更と共に見直される。
不動産部門は開発計画の縮小により資金を節約できる。ドバイの主要デベロッパーは選定しながら事業の先送りやキャンセルを開始した。
(そうはいっても)2010年初に向けて既に建設を開始した事業は続行されよう。
もっとも、現在の不動産の落ち込みが予想を上回るほど厳しくなれば、各社の資金状況にマイナスを与えることになろう。


 因みに、フィッチ(Fitch)のバシャール・アル・ナトゥール産業格付けチーム責任者は「GCC諸国は不動産市場の悪化を経験しつつあるが、その程度は国により異なる」「資金調達面では、企業借り入れは制限されており、個人向けの不動産担保融資も厳しくなりつつある」「これらの要因が建設・不動産部門の収益性を悪化させ資本調達を難しくしている。こうした現象は特にドバイで見られる」(エミレーツ・ビジネス24/7紙 2009年1月21日)と現状を分析する。


 結局、世界のどこの国でも同じように、短期債務に偏重している企業や資金取り入れが容易でない企業は、平素からの金融機関との関係が十分でない場合、流動性不足の問題に直面するということになろう。尚、中東・イスラム諸国のイスラム債(スクーク)を含む債券発行市場についても、少なくとも2009年上半期まで余り活発化しないと見られている。

(1月21日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)