石油武器などとんでもないとの内容の記事を掲載したサウジアラビア国内で発行の英字紙
(2009年1月16日掲載)

 サウジアラビア国内で発行している英字紙アラブ・ニューズは、2009年1月9日付けで、「石油武器などとんでもない」(“Oil as weapon? No way”)とのSyed Rashid Hussain氏の署名入り記事を掲載した。アラブ・ニューズ紙は、サウジアラビア政府の意向を汲む記事を掲載することが多いといわれているので、今回の記事の内容も政府の考え方を反映したものと推察される。以下では、同記事のポイントのみを要約した形で紹介することとしたい。尚、全文をご欄になりたい方は、次のアドレスをご参照されたい。http://arabnews.com/?page=6&section=0&article=117976&d
=9&m=1&y=2009&pix=businessjpg&category=Business.


アラブ産油国が1973年のヨム・キップル戦争(注:第四次中東戦争)で石油武器を使った当時と今では事情が劇的に異なっている。

石油を武器として使用することは遠い昔に死に絶えたという事実は今でも健在である。仮に、意思があったとしても今のOPECは(石油市場を)コントロールする立場にはない。

しかし、危機が起きるたびに石油武器の問題が蒸し返される。2006年のイスラエルによるレバノン侵攻時にもそれは話題となった。だが石油情勢に精通した人ならば、そうした可能性が限りなく小さく、しかも負担の伴うものであることを知っている。

今般のイスラエルのガザ侵攻と共に、西側では石油武器への懸念の声が上がり、中東でもそれを求める声も登場した。

イラン革命防衛隊の准将が2009年1月10日、イスラム諸国に石油を武器として使用することを訴えたし、その数日前には、バハレーン議会で議員の何人かがイスラエルの攻撃に対して西側諸国が圧力を掛けるよう石油を武器として使用すると共に、政府系ファンドが西側諸国に圧力を掛けることを呼びかけた。

これを発端として雑誌や新聞がこれを取り上げた。アラブ諸国で、こうした考えが実際的か否かたしなめたところはあったのであろうか?

バハレーンはOPECに加盟しておらず、重要な産油国でもない。輸出収入の90%を石油収入に依存し原油価格の急落によって経済の弱体化しているテヘランにそれ(=石油武器を使用すること)が出来るのであろうか?

しかも、(石油武器といっても)それは意思の問題だけではない。そんなことができるのであろうか。今は1973年ではない。環境が変わり市場が変化した。OPECは今や石油市場を圧倒的にコントロールしてはいない。今やOPEC生産量は世界の生産量の40%に過ぎない。

加えて、世界経済に占める石油の比重という要素も考えねばならない。当時、石油は世界のGDPの約8%を占めたが、今やその四分の一(注=約2%)に過ぎない。さらに経済に対する石油の弾性値も大きく下がり、過度のガソリンを消費してきた米国のドライバーの時代も終焉を迎えた。

中東の指導者達も、過去のような怒りのレトリックではなく、プラグマティック(実証的)な政策を希求している。サウジアラビアは、石油は武器ではないと繰り返し主張してきた。リヤドは数十年に亘り石油は開発のためのものと主張してきた。

リヤドは石油収入を必要とし、それ抜きには生きて行けない。その他アラブ諸国にも違いはない。

これら全ては、我々を、OPECには意思も能力もないとの基本的事実に導いてくれる。実証主義的になろうではないか。

(1月12日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)