国内5銀行への160億Dhの資本注入を明らかにしたアブダビ政府

(2009年2月13日掲載)

 アブダビ政府は2009年2月4日、同国の5銀行への160億Dhの資本注入を明らかにした。アブダビ政府の財務庁は声明で、「現在の世界経済の状況から考えて、アブダビ政府は、アブダビの金融機関に対する信頼を一層向上させるためには、今回の戦略的イニシアチブが、適切且前向きな措置であると信じる」と述べ、今回の資本注入の目的を説明した。また、ハマド・アル・フール・アル・スウェイディ執行委員会委員兼アブダビ財務庁次官は、「アブダビ政府は、今回の銀行への資本注入がアブダビ金融機関を強力なままに維持し、国際的金融機関と比べても十分な資本を保持した状態にすると共に、アブダビ経済に関する政府のビジョンを実現するためには重要な一歩であると見る」(ガルフ・ニューズ紙 2009年2月5日)と語り、時宜を得た適切な措置であるとの見方を示した。


 アブダビ政府は、対象となる銀行の発行するTier1資本証書を購入する形で資本注入する。JPモルガンが証書発行の主幹事項となり、クリフォード・チャンスが本件に関するアブダビ政府の法律顧問となる。今回の資本注入は、優先株の発行と同様の形式で行われる。尚、金利は年間固定で6%とされ、向こう5年間、半年毎に支払われ、それ以降は変動金利へと移行する。


 アブダビ国内の金融専門家達は、今回の資本注入について、「UAEの銀行部門にとっては、極めて重要である」「今回の注入は正しい方向への動きであり、銀行部門のみならず経済全般に前向きのシグナルを与える」「これは信頼感を醸成するための施策であり、世界の金融市場に向けて発信された力強いメッセージである」「心から歓迎したい」(同上)等々とコメントしている。


 UAE中央銀行と財政省は2008年秋、国内の流動性不足に対応するために、既に、1200億Dhの緊急融資制度を創設しているので、今回の措置はそれに次ぐ第2弾ということになる。


 また、アブダビ在住の某エコノミストは今回の措置について、「今回の資本注入は、アブダビが、計画中の事業を計画通りに実行するための融資計画に見える」「勿論、今回の資本注入で、将来、不動産部門などで問題が生じても、緩衝剤が出来たことにもなるが」とコメントしている。


       表 UAEの資本注入対象銀行と資本注入額

銀 行 名 時価総額1) 株価1) 資本注入額
アブダビ・コマーシャル銀行
(ADCB)
673億Dh 1.40Dh 40億Dh
ナショナル・バンク・オブ・アブダビ
(NBAD)
1453億Dh 7.35Dh 40億Dh
ファースト・ガルフ銀行(FGB) 1052億Dh 7.65Dh 40億Dh
ユニオン・ナショナル銀行(UNB) 319億Dh 1.70Dh 20億Dh
アブダビ・イスラム銀行(ADIB) 439億Dh 2.23Dh 20億Dh
出所:ガルフ・ニューズ紙 2009年2月5日
注:1)2009年2月2日時点。

(2月7日、記)
<関連情報>

170億ドルの公的資金注入の噂が流れるなか経済浮揚策や投資会社救済案で揺れるクウェイト議会【2/3】

政策金利を引き下げたアラブ首長国連邦(UAE)中央銀行とサウジアラビア通貨庁(SAMA)【1/23】

漸く任命されたクウェイト新内閣の注目点は投資会社救済案や経済改革案を巡る議会対策【1/16】

借入金の大部分がデフォルトであることを明らかにしたクウェイトのグローバル・インベストメント・ハウス(GIH)【1/13】

GCC諸国の経済は2010年には回復すると予測したドバイの中東専門機関Meed Insight【1/13】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)