核開発を巡るIAEA提案の回答期限まで2週間を切ったものの依然強気の姿勢を崩していないイランと新制裁をちらつかせる米国
(2009年12月18日掲載)

 核開発を巡るIAEA提案の回答期限である2009年12月31日まで2週間を切ったものの、イランは依然強気の姿勢を崩していない。他方、イランの核開発については出来る限り外交交渉による解決を望んでいると見られる米国は、何とかイランの妥協を引き出そうと新制裁をちらつかせている。このように、イランの核開発を巡る交渉は双方が土壇場を迎えて相手の譲歩を引き出そうとしている。以下では、過去1週間余りの動きを簡単に整理して見た。

月 日 イ    ラ    ン 国 際 社 会 
12月10日   
クリントン米国務長官は、アル・ジャジーラとのインタビューで次のように語った。
国際社会は、今では圧力・制裁に舵を切ろうとしている。
イランと当初IAEA提案に原則合意したものの、国内の議論の結果か、その後撤回した。
イランの核開発は平和利用との説明には大いに疑問がある。
フランスのアロー国連大使が、安保理会合で、「我々は転換点に差し掛かっている」「イランが対話拒否を続ければ、新制裁決議に進まねばならない」と語った。
英国のグラント国連大使が、「我々の忍耐も限界を超えつつある」と語った。
12月11日   
クリントン米国務長官が記者会見で、「イランが提案を受け入れ譲歩せねば、悪い結果を将来する」「イランは世界でテロを支援し輸出している」と語った。
12月12日
モッタキ外相がバハレーンで開催されたセミナーでIAEA提案に対して、「第一段階として、イランが保有するウランの約2割相当の400キロを南部キシュ島で完成燃料と同時交換する」との対案を明らかにした。
    
12月14日   
英国タイムズ紙が、入手した秘密文書によるとして、「イランが核兵器以外に使用されることのない機材の開発を進めている」「この機材とは核爆発を引き起こす中性子起爆装置である」「同装置の実験は2007年から開始された」と報じた。尚、ペルシャ語で書かれた機密文書には、欧米諸国がイランの核兵器開発の責任者と考えているモフゼン・ファフリザデ氏の署名があったという。英国を含む複数の欧米の情報機関やIAEAも同文書を入手済みという。
12月15日   
米下院の本会議が、イランに石油製品を供給する企業、イランの石油精製設備の拡大を支援した企業に制裁を課す「対イラン制裁強化法案」を可決した。但し、法案化には上院の承認が必要になる。
12月16日
イラン国営テレビが、国防省の発表として、中距離ミサイル「セジル2」の改良型の試射に成功したと伝えた。同ミサイルの射程距離は約2000キロと言われており、イスラエル、湾岸の米軍基地、欧州地域が射程内となる。バヒディ国防軍需相は、固形燃料使用の2段式発射方式で、発射時間が短縮され、ミサイル防衛システムを回避しうるよう弾道部分も改良されていると述べている。
ブラウン英首相は、「イランの中距離ミサイルの発射は国際社会にとり重大懸念であり、イランに追加制裁を加える論拠を与える」と語った。
フランス政府は、「イランの中距離ミサイルの発射は、極めて悪い兆候である」と表明した。
出所:各種報道より作成のもの。

(12月17日、記)
<関連情報>

2010年月での新制裁の発動を目指し動き出したオバマ米政権と依然強気の姿勢を崩さないイラン【12/8】

濃縮率20%のウラン燃料の国内製造に言及しIAEAの「低濃縮ウランの国外搬出及ぶ露仏での再濃縮・燃料加工後の受領」案の拒否を明らかにしたアハマディネジャド・イラン大統領【12/4】

ウラン濃縮施設の建設中止を求める決議を採択した国際原子力機関(IAEA)と反発するイラン【12/1】

対イラン決議草案を作成し低濃縮ウラン国外搬出提案の受け入れと一層の情報開示を迫る国際原子力機関(IAEA)【11/27】

核開発交渉で「国内低濃縮ウランと再濃縮・加工済み核燃料の同時交換案」や「核燃料の適時供給保証」を持ち出し再交渉を求めるイラン【11/24】

核開発を巡る安保理にドイツを加えた6ヶ国との交渉を急いでおらず地域大国としての認定に注力するイラン【11/6】

国際原子力機関(IAEA)の提案に反対するイラン保守派とイランの対応に不快感を示す欧米諸国【11/4】

国際原子力機関(IAEA)の提示した低濃縮ウランの海外移送加工案に修正を求めた模様のイラン【10/30】

国際原子力機関(IAEA)の提案の回答期限(10月23日)の延期を申し入れたイラン政府【10/27】

(幹事 畑中 美樹<はたなか・よしき>)