オーストリアのベンドルフ・グループと共同で投資会社を設立したアラブ首長国連邦の投資会社アーバル・インベストメンツ
(2009年8月25日掲載)

 アラブ首長国連邦の投資会社アーバル・インベストメンツは2009年7月下旬、オーストリアに本部を置くベンドルフ・グループとの合併事業として、不動産とテクノロジー関連に対する投資専門の投資会社を設立すると発表した。アーバル・インベストメンツ側が新規投資案件の3分の2を出資し、残りをベンドルフサイドが出資する。ちなみに、ベンドルフ・グループは、ヨーロッパや米国、中国、インドなど20カ国以上に拠点を置く企業で、ステンレス製のスイミングプールやプレスプレート、熱処理オーブンなど様々な工業器具を設計、製造している。同社の本事業は「アバグ・アクティエンゲッセルシャフト(Abag Aktiengesellschaft)」と呼ばれている。

 アーバルインベストメンツのカデム・アル・クバイシ会長は「アバグ・アクティエンゲッセルシャフト(Abag Aktiengesellschaft)は、ヨーロッパの技術及び不動産関係の優良企業に対する投資活動に際して非常に有効なプラットフォームとなる」(エミレーツ・ビジネス 24/7紙 2009年7月22日)と語り合意を喜んでいる。また、ベンドルフ社のピーター・ピクラー(Peter Pichle)経営最高責任者(CEO)は、「我々はアーバルをパートナーとして受け入れることで、自分たちの投資のチャンスを拡大することができると考えている。ベンドルフの既存のポートフォリオにネガティブな変化がない限り、そしてこの新しい協力関係が続く限り、私たちは多くの投資の機会とリターンを享受することができるだろう」(同上)と述べ、合弁企業設立の意義を強調した。

 同社の声明によれば、合併事業の第一のステップとして、2社は各1億5000万ユーロを出し合い資金調達を行う。尚、2社の持ち株比率は2対1(ベンドルフが5000万ユーロ、アーバルが1億ユーロ)となる。ちなみに、同社は既ににアブダビ証券取引所に上場されている。ベンドルフ社のピーター・ピクラー(Peter Pichle)経営最高責任者(CEO)は「特にこれから24か月の間、多くの会社の株価が比較的安価で推移するので期待に値する収益を得られるはずだ」「中長期投資の観点からみれば、現在の株式市場には安価な企業が非常に多くある」「このような状況を前に、私たちは適正なタイミングにアーバルと協力し投資を行っていくつもりである」(同上)と今後の投資戦略を説明した。

 アーバル・インベストメンツの筆頭株主は、アブダビ政府が所有する国際石油投資社会(IPIC:International Petroleum Investment Co)である。アーバル・インベストメンツは、2009年2月、イタリアの大手銀行ウニクレディットの転換社債約6000万ユーロ相当を取得している。また、3月にはドイツの自動車メーカーであるダイムラーの株式の9.1%も購入している。加えて、同時期にダイムラーが持つ米テスラ・モーターズ(電気自動車関連のベンチャー企業)の株式の約40%を19億5000万ユーロで購入している。

 これは電気自動車の量産ノウハウの獲得を狙った出資であった。この取得に伴い、地球温暖化に対する意識の高まりや原油価格の乱高下を契機とするハイブリット車や電気自動車関連企業への関心の高まりも手伝ってか、アーバル・インベストメンツの株式は1.53%程度上昇した。このほかアーバル・インベストメンツは、2009年7月に世界初の民間宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティック社の株式の32%(2億8000万ドル相当)も取得している。

(8月17日、記)
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(著述家 高橋大樹<たかはし・ひろき>)