英サッカー・チームのポーツマスFCを買収したアブダビ・ユナイテッド・グループ役員アルファヒム氏
(2009年8月21日掲載)

 2009年7月下旬、アブダビ・ユナイテッド・グループの役員の一人であるスレイマン・アルファヒム氏が、英国のサッカー・チームであるポーツマスFCの買収を受理された。周知のように、同氏は昨年(2008年)、同じくサッカー・チームのマンチェスター・シティを買収した人物として知られる。因みに、ポーツマスFCは2008年のFAカップで優勝したチームで、今季はリーグ14位ではあるものの来季のプレミア残留を決めている。

 アルファヒム氏は、2009年6月時点ではこの買収案を否定していた。同氏は当時、記者陣の質問に対して「まったく関係ない。無名の英国のクラブを買収することはない」「名前は明かせないが別のクラブの株式の60%を購入する」などと発言し、記者団を煙に巻いていた。その後、同氏は「買収する上での法的な過程を経ている。すべては7月に完了する」と述べるなど、発言内容を次第に変化させていた。

 ポーツマスFCは2009年8月15日、エジプト人の億万長者で「ハロッズ」デパートのオーナーであるモハメド・アルファイド氏がオーナーを務める英国の「フルハムFC」と対戦した。モハメド・アルファイド氏は、1997年に英国のサッカークラブへの投資を最初に始めた人物でもある。あるスポーツジャーナリストは、2008年、同チームの評価価格を「買収時の1.5~2倍程度」と算出し、成功した投資案件と紹介していた。世界的な経済の低迷により西側諸国の投資家の財布のひもが固くなっている現在、こうした成功例が、アラブ投資家のサッカービジネスへの投資を後押ししているようだ。

 また、デロワッテズ・スポーツ・ビジネス・グループ(Deloitte's Sports Business Group)のピーター・ハッケルトン(Pete Hackleton)上級マネージャーは「石油関連で膨大な利益を上げた人物が、イタリアのセリエAやスペインのプリメーラ・リーグよりも、英国のプレミアリーグに興味を示しているのは、メディアがこぞってそのように伝えたからだ」と話している。同社の調査でも、2008年、英国サッカー業界は、スペインよりも10億ユーロほど高い収益を出している。ピーター・ハッケルトン(Pete Hackleton)上級マネージャーは「投資対象として、スペインリーグは競争相手にもならない」と付け加えている。

 今やマンチェスターユナイテッドやリバプール、チェルシーなどを含む英国のトップ7のオーナーは海外からの登録者である。現状では米国人オーナーが多いものの、中東の投資家が有力投資案件として注目しているだけに、今後、中東出身のサッカーチームのオーナーは増えるだろう。

(8月19日、記)
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(著述家 高橋大樹<たかはし・ひろき>)