21名の閣僚名簿をラリジャニ国会議長に提出したイランのアハマディネジャド大統領
(2009年8月21日掲載)

 イランのアハマディネジャド大統領は2009年8月19日、女性3人を含む21人の閣僚名簿をラリジャニ国会議長に提出した。国会は各大臣の適正等について1週間かけて議論し、その後、8月30日に大臣ごとに承認すべきか否か投票にかけることになる。しかし、アハマディネジャド大統領は2009年6月の大統領選挙で不正があったとして改革派から非難されているのみならず、既に同じ保守派からも未経験で未熟な人物を大統領に近いというだけで登用しているとして批判されている。

 今回提出した21人の閣僚名簿についても、早速批判が噴出している。例えば、アリ・ラリジャニ国会議長は「閣僚は十分な経験と技量を伴っていなければならない」「そうでなければイランの大きなエネルギーが浪費されてしまう」(AP通信 2009年8月20日)と述べ、間接的にアハマディネジャド大統領の提出した名簿の候補者には経験と政治的重みの両方が欠けると指摘した。ラリジャニ議長は大統領に忠誠を誓うヘイダル・モスレヒ氏の情報相への任命に特に批判的なようだ。同議長は「治安担当の高官は治安と政治問題の双方に対応しうるビジョンとノウハウが備わっていなければならない」(同上)と語り、ヘイダル・モスレヒ氏は情報相には不適と示唆している。

 ムハンマド・レザ・バホナール副議長も何人かの候補者は承認されないと見る。同副議長は「我々の推定でも4人ないし5人は信任投票を通らない」「特に、保健相、エネルギー相、労働相に任命されたアハマディネジャド大統領の側近は、これまでの大臣ほど効率的な人物ではない」(同上)と述べ否決される可能性を指摘した。因みに、保健相の候補はマルジエフ・ヴァディ・ダストウゲルディ女史・婦人科医である。

 21人の候補者のうち6人はアハマディネジャド大統領の一期目からの続投大臣である。ただし、同一ポストでの続投はモッタキ外相など4人のみである。これまでのムスタファ・ムハンマド・ナッジャール国防相は内務相に任命された。国内治安の監視が一層厳しくなることが予想される。他方、アハマディネジャド大統領の縁戚であるマシャイ第一副大統領の任命に際して批判的な言動をとった情報相、文化相、保健相、労働相の4人は新名簿から外された。

 国会の適正審査で批判を受けそうな今一人はアリ・アクバル・メフラビアン工業相である。同人は知的所有権を巡る裁判で有罪判決を受けている。それだけに、大統領の批判者たちは、能力に係わりなく忠誠心に報いて大臣に任命しようとした好例と指摘する。さらに、これまで商業相を務めていたマスード・ミル・カゼミ氏の石油相への任命も、石油行政に未経験者な人物の登用として批判を浴びそうだ。

 尚、アハマディネジャド大統領は女性の取り込みを図るためか、既に挙げた保健相へのマルジエフ・ヴァディ・ダストウゲルディ女史・婦人科医の任命に加えて、スーザン・ケシュハヴァラズ教育省局長・女史の教育相への任命、ファーティマ・アジョルルー女史・国会議員の社会福祉相への任命と、合計3人の女性を閣僚リストに含めている。国会で承認されればイラン革命後30年で初の女性大臣の誕生となる。

(8月20日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)