買い増し権利の購入により最終的にフォルスワーゲン株式の17%の取得が可能となったカタール・ホールディング
(2009年8月18日掲載)

 カタール政府のカタール・ホールディングは2009年8月14日夕刻、声明を発出し、ポルシェとの経営統合を発表したフォルクスワーゲンの株式の17%を取得することになった旨、明らかにした。また、同声明はカタール・ホールディングが、ポルシェ、ニーダーザクセン州に次ぐ第三位の株主となることも明らかにした。

 同日(8月14日)、ポルシェはカタール・ホールディングから議決権ベースで10%の出資を受けることで合意したと発表していた。ポルシェの創業者一族が同取引に同意したものである。因みに、ポルシェの議決権は1948年の創業以降、全てポルシェ一族が保有してきた。同時に、ポルシェは、フォルクスワーゲンの株式を追加購入できるオプションをカタール・ホールディングに売却したことも明らかにした。これによりカタール・ホールディングは、議決権ベースの10%相当等と合わせてフォルクスワーゲンの株式の17%の取得が可能となる。

 フォルクスワーゲンとポルシェは2009年8月13日に監査役会を開催したが、終了後、フォルクスワーゲンが持ち株会社ポルシェ傘下のスポーツカー部門ポルシェAGの株式の42%を取得し、その後段階的に買い増し最終的にフォルクスワーゲンと持ち株会社ポルシェを合併することで合意した旨、発表していた。またフォルクスワーゲンは2009年中に最大33億ユーロ(約47億ドル)を支払い2011年末までに経営統合を目指すことも明らかにしている。フォルクスワーゲンは、その資金調達のため2010年上半期中に優先株の発行による増資を計画している。またフォルクスワーゲンの監査役会は、同社のマルテイン・ビンターコルン最高経営責任者(CEO)を2009年9月15日付でポルシェのCEOに就任させることも決定した。

 因みに、ポルシェの従業員数約1万2000人、売上高74億6600万ユーロ、新車販売台数約9万8700台(2008年7月期)に対して、フォルクスワーゲンは従業員数約37万人、売上高約1138億ユーロ、新車販売台数約625万台(2008年12月期)である。両社は経営統合による費用削減効果などから年間7億ユーロの増益効果が期待できるので、早急に体制を整備したうえで2018年までに1000万台の販売を目指すことでトヨタを追撃し世界一の自動車メーカーの座を狙いたいとしている。


(8月16日、記)
<関連情報>

ロンドンのシティーの空にそびえる超高層ビル「シャード・オブ・グラス」を建設するカタール投資家【8/18】

ドイツ企業とアルジェリアでの自動車組み立て合弁事業を行うアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツ【8/18】

バージン・グループ(英)の宇宙旅行事業に2億8000万ドル投資するアブダビ政府系のアーバル・インベストメンツ【7/31】

形勢逆転しフォルクスワーゲンによるポルシェの統合案で落ち着いた経営権争い~最終的にカタールも19%出資の見込み【7/28】

サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の訪問で対米投資の継続や米ドル連動性の維持を求めたガイトナー米財務長官【7/28】

カタール投資庁とフォルクスワーゲンの双方がそれぞれ条件を提示し複雑化してきたポルシェ株の取得の動き【7/17】


(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)