2009年上半期の家賃が平均20%下落したアラブ首長国連邦(UAE)のアジュマンなどの北部首長国
(2009年8月7日掲載)

 商業用不動産のコンサルタント会社であるCBリチャード・エリス(CBRE)が今般発表したアラブ首長国連邦(UAE)の北部首長国であるアジュマン、ラス・アル・ハイマ、シャルジャ、ウンム・アル・クワインの2009年上半期の家賃に関する報告書は、これら首長国の家賃が同期間に平均20%下落したことを明らかにした。一部では家賃が35%以上も下がったという。

 アラブ首長国連邦(UAE)でも、世界同時不況の影響による一部のプロジェクトの先送りや中止から外国人労働者の削減が明らかとなっている。その結果、それまで外国人を対象としてきたUAEの家賃の下落も顕著となっている。アラブ首長国連邦(UAE)の開発ラッシュ、建設ブームの最盛期には、ドバイの家賃が急騰したこともあって、ベッドタウン化したシャルジャやアジュマンといった北部首長国の賃貸物件は人気の的となっていた。

 しかし、ドバイにおける不動産価格が急落し、シャルジャやアジュマンの家賃と大きく違わなくなると共に、これらの北部首長国に移っていた通勤者の中から再度ドバイに移り住む人たちも出始めている。一方、アジュマンやラス・アル・ハイマでも世界同時不況の影響から一部の大規模事業の先行きが危ぶまれている。このため、例えばアジュマン政府は同国のマルムーカ・シティ開発に対して、同事業への懸念を払拭することを目的として、2009年2月、8億ディルハム(約2億1900万ドル、約208億円)の出資を決めている。同様に、ラス・アル・ハイマ政府も、ラ・ホヤ・ベイ島不動産プロジェクトを20億ディルハム(約5億4800万ドル、約520億円)で取得することに合意している。さらに、両首長国はドバイ不動産規制庁(RERA)を見習って、同様の機構を創設している。

 CBリチャード・エリス(CBRE)の報告書は「既に(UAEの北部首長国でも)供給が需要を大きく上回っているので、借主は選択の増大から恩恵を受けるし家主から従前より有利な条件も提示されるであろう」「既にデベロッパーにとって悪化している市場がさらに悪くなることが懸念されているし、少なくとも短期的に市況がさらに悪化してさらなる遅延や中止、或いは政府による介入も懸念されるようになっている」(http://www.arabianbusiness.com/563609-rennts-in-northern-
emirates-seen-falling-after-20-h1-drop)と分析し、これまで好調に推移してきたUAEの北部首長国の賃貸市場にも値崩れが波及している実態を明らかにした。

(8月4日、記)
<関連情報>

費用削減の観点から医療用診断設備のリース使用を検討するアラブ首長国連邦(UAE)の病院【8/4】

米国不良債権の償却で大幅な赤字計上となったドバイの政府系デベロッパー・エマールの2009年第2四半期の決算【8/4】

サウジアラビアの名門アフマド・ハマド・アルゴサイビ・&ブラザース向け融資で貸し倒れ引当金の計上の基準を明らかにしたUAE央銀行【7/31】

政府系企業の資金支援を主な目的として「ドバイ金融支援基金」を創設したドバイ首長国【7/24】

不況克服のため官民上げて結束することを確認したドバイ執行評議会(DEC)の経済評議会【7/24】

 (幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)