イスラエルを訪問しネタニエフ首相ほかとイランの核開発問題への対応を協議したゲーツ米国防長官
(2009年8月7日掲載)

 2009年7月27日、イスラエルを訪問したロバート・ゲーツ米国防長官は、僅か半日の滞在ながらネタニエフ首相、バラク国防相をはじめとする要人と会談し、イランの核開発問題への対応を協議した。会談相手の中には、イスラエルの諜報機関モサドや軍諜報機関の長官ほかも含まれていた。イスラエル政府高官は、90分に亘るゲーツ・ネタニエフ会談について、「極めて良好なものであった」「共通点が相違点をはるかに上回った」「過去の対イラン制裁に比べて遥かに厳しい制裁について進んで協議した」と述べ、会談が成功裏に終わったことを示唆した。


<イスラエルからアンマン入りした直後のゲーツ米国防長官の発言>
仮にイランが米国の関与という提案を拒否すれば、米国は遥かに厳しい国連制裁を求めることになろう。
明らかなのは、関与プロセスが成功しなければ、米国が重要な追加的制裁の用意があるということだ。
米国はより厳しい制裁への国際的支持を求めて行く。


<ゲーツ米国防長官と会談後のネタニエフ首相事務所の声明>
ゲーツ米国防長官はイランの核問題に関しては米国とイスラエルは同様の見方をしていることを説明すると共に、米国の対イラン関与政策には時間的制限のあることを明らかにした。
ネタニエフ首相はイランの核の野望を真剣に受け止めていることを説明し、核兵器の製造能力を持つ以前に必要なあらゆる手段を駆使して阻止する必要のあることを強調した。


<バラク・イスラエル国防相との共同記者会見でのゲーツ米国防長官の発言>
米国はイランが時間を使って逃げ込もうとしている可能性のあるのを認識している。
オバマ米大統領は、イランがこの秋までに何らかの答えを出すことを期待しているか、或いは望んでいると思う。
米国はイスラエルのミサイル防衛計画を強化するために、財政的・技術的に貢献を続ける。
米国はイスラエルが防衛のために最先端の兵器類を持ち続けるのを保証し続ける。


<ゲーツ米国防長官との共同記者会見でのバラク・イスラエル国防相の発言>
(米国はイスラエルに対イラン軍事攻撃を思いとどまらせようとしているのかとの質問に対して)我々は米政権が対イラン関与政策を行うべきか否か発言する立場にはない。
しかし、関与政策があるとするならば、我々はその期間は時間的に短いものと考える。
我々は如何なる選択肢も机上から外されるべきではないと思う。
これがわが国の政策である。我々は他国にも同様の立場を取るよう勧めた。
イスラエルは現行の制裁よりも遥かに厳しい制裁を前もって準備すべきと考える。
核の傘という考え方についてだが、イスラエルはいつでも自ら防衛する道を好む。
我々はわが国の行動が周辺国ほかにインパクトを与えるのを知っており考えに入れている。しかし、我々は最終的にはイスラエルの安全保障を確約している。


 米国のクリントン国務長官は2009年8月3日、ヨルダンのジュデ外相との共同記者会見で、イランが国連安保理とドイツによる提案に前向きな回答をしなければ、国際社会が次の措置を取る用意があると語り、新たな制裁の採択の可能性もあることを示唆した。現時点では、新たな対イラン制裁には、イランへの石油製品等の販売の禁止やイラン産原油・ガスの購入禁止が含まれる可能性があるといわれる。仮に、イラン向け石油製品の販売が停止されれば、イランはガソリン、灯油、軽油、プロパン、ブタンなどの不足に襲われることになろう。

 ロバート・ゲーツ米国防長官とジェームズ・ジョーンズ国家安全保障担当補佐官は、先般のイスラエル訪問時に新制裁案について説明済みの模様である。新制裁案は国連安保理での採択を原則とするが、仮に中露の反対等で成立の見込みの立たない場合には、米国の主導する同盟国を主体としたものとなろう。ただし、英国などは、後者となれば、例えば中国などが抜け駆け的にイランと取引することになるのではないかとの懸念を表明したといわいる。何れにしても、オバマ政権の設定したイランからの回答の時限である2009年9月下旬まで残すところ8週間弱である。ハメネイ最高指導者を中心とするイラン政府の対応が注目される。

(8月5日、記)
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 (幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)