ドバイをはじめとする中東で進行中のホテル建設プロジェクトの現状

(2009年4月21日掲載)

 ホテル不動産の調査会社ロッジング・エコノメトリックス(Lodging Econometrics)社の2009年ホテル情報(2009 Hotel Pipeline Report)によると、中東地域で最もホテル建設プロジェクトが進行しているのがドバイである。因みに、実に中東地域で進行中のホテル建設プロジェクトの34%がアラブ首長国連邦(UAE)一国におけるものである。


 同社が行った進行中のホテル・プロジェクトの集計と今後3年以内に開業するホテル数の見通しによれば、中東で進行中のホテル・プロジェクトは503件(147,488室)だが、国別ではドバイが136件(50,414室)と第一位で、アブダビの73件(23,489室)がこれに続く。特に、大型・ハイエンド(高級)・ワールド・クラスなリゾート型ホテル建設プロジェクトの四分の三がUAE一カ国に集中している。因みに、今後の開発が期待される北アフリカを含むアフリカで進行中のホテル・プロジェクトも171件(35,267室)と健闘している。


 中東でのホテル建設プロジェクトも他地域と同じようにここ数年に偏在している。ヨーロッパのホテル建設プロジェクトの50%、中東及びアフリカのホテル建設プロジェクトの53%は既に建設工事が始まっているが、工事の着工時期を見ると、資金調達難の顕在化する以前の2007年第四半期と2008年第一四半期に集中している。


 イギリスで建設中のホテル・プロジェクト数は279件(39,096室)とヨーロッパの24%を占めており、152件(20,779室)のスペインがこれに続く。アフリカについては、モロッコで45件(8,787室)のプロジェクトが進行中で、アフリカ大陸で最も多くのプロジェクトを抱えている。建設中のホテル・プロジェクトの部屋数で見ても、モロッコはアフリカ全体の25%を占めている。アフリカ大陸では南アフリカが29件(4,798室)とこれに続く。 


 但し、ここに来て国際的な展開を行ってきた銀行の撤退が、特に東ヨーロッパと中東に大きな影響を与えており、進行中のホテル・プロジェクト数及び新規部屋数の減少を生んでいる。今後、数ヶ月先には減少の速度が早まることになりそうだ。
現在ヨーロッパで進行中のプロジェクト件数は、2008年第二四半期のピーク時と比較すると5%減で、部屋数でも6%減少している。アフリカではプロジェクト件数、部屋数ともに4%落ちている。中東はもう少し落ち幅が大きく、プロジェクト数、部屋数共に10%減となっている。


 建設段階にあるプロジェクトも資金調達難で進行が遅れており、開始待ちや計画の初期段階のプロジェクトの件数が急増している。デベロッパーは、資金調達にメドをつけるまで、遅延プロジェクトを先延ばししようと躍起になっている。世界的に見ても取り止めや延期となったプロジェクト総数は164件(37,470室)に達している。特に、取り止めや延期となったプロジェクトは過去2四半期での増加が顕著で、なかでも2008年第二四半期には倍増している。ヨーロッパでは、取りやめとなったプロジェクト数は前年比で4倍に達した。ドバイも深刻で2008年第二四半期には20件(7,477室)のホテル・プロジェクトが取り消しか延期になっている。中東湾岸で特徴的なのは、資金枯渇がハイエンドのリゾート・プロジェクトの実施に深刻な影響を与えている点である。


 最近発表されるホテル・プロジェクトを見ると規模が小型化しており、その傾向は特にヨーロッパで顕著である。デベロッパーや金融機関もホテル・プロジェクトでは中間層市場に関心を移し始めており、ヨーロッパでは部屋数200以下の経済的なプロジェクトの人気が高まっている。

(4月17日、記)
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(中東問題研究家 江添久義<えそい・ひさよし>)