核燃料工場の完成を発表したイランと核多国間交渉への参加を表明した米国:ドバイ発
(2009年4月14日掲載)

核燃料工場の完成を発表したイラン


 イランのマフムード・アハマディネジャド大統領は、同国が2006年に定めた「原子力技術記念日」の4周年に当る2009年4月9日、中部イスファハンでの核燃料製造施設のテープ・カットを行った。アハマディネジャド大統領は、併せてウラン濃縮に使用する従来よりも性能の優れた2種類の新型の大容量遠心分離機の試験を行ったことも発表した。

 また、同式典に参加したゴムレザ・アガザデ原子力庁長官は、独自の核燃料サイクルの最終段階を迎えたと述べると共に、ナタンツで稼働中のイラン濃縮用遠心分離機が従来主張していた約6000台から約7000台に増加したこと及び、今後5年で5万台に増やす意向を明らかにした。尚、イランのメヘル通信は、イスファハンの新工場が、アラクの重水路向けに年間10トン、また軽水炉向けに年間30トンの核燃料を製造することが出来ると伝えた。

 但し、米国のヒラリー・クリントン国務長官は、ワシントンでの記者会見で、「イランの核計画では何を信じればよいのか分からない」「我々は余りに多くの評価や主張を何年にも亘り聞いてきた」(http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/7991282.stm)と語り、核開発で大幅な進展があったとするイランの主張に疑問を投げかけた。


核多国間交渉への参加を表明した米国

 米国のロバート・ウッド国務省報道官代行は、2009年4月8日、記者会見で、米国が核開発問題を巡るイランとの多国間交渉に参加すると決めたことを明らかにした。但し、イランとの二国間協議もありうるかに関しては時期尚早との考えを示した。

 これに対してイランのアハメディネジャド大統領は「イラン国家は公正で権利と規則を完全に尊重する交渉を希求する最初の最初から言ってきた」「一方的な交渉や、条件付の交渉、脅迫の雰囲気の中での交渉は、如何なる人物も受け入れない」と語り、イラン側の権利が尊重され公正な形で進められるならば核開発問題の交渉を拒否しない考えを明らかにした。ジャバンフェルク・イラン大統領顧問も、2009年4月9日、要請内容を吟味してから対応を決めるとしながらも、米政府による多国間交渉への参加表明自体は前向きの動きと歓迎した。


その他の関連する動き

 2009年4月上旬のランの核開発を巡る動きでは、上記に加えて次のような動きもあった。

2009年4月01日:ペトレイアス米中央軍司令官が米上院軍事委員会に提出した書面の中で、イスラエルがイランの核開発の進展を阻止するために先制軍事攻撃を行う可能性があるとの見方を示していたことが明らかとなった。

2009年4月04日:英国のファイナンシャル・タイムズ紙が、ワシントン発として、オバマ政権がイラン政策の見直しの一環として、イランのウラン濃縮を認めることを検討中であると報じた。

2009年4月06日:大統領選挙に立候補したムサビ元首相が、当選した場合、核技術の保有を国民が認めているので核開発計画はあきらめないと語った。

2009年4月07日:米財務省がイランのミサイル拡散に関与したとして、中国人1人とイラン系6組織を金融制裁の対象に加えることを発表した。

2009年4月09日:米政府が中国人企業家と企業に、ニューヨークの中国銀行を使ってイラン向け核兵器資材の購入に当っていたとして制裁を加えた件で、中国外務省報道官が記者会見において、中国政府は米国政府が国内法を援用して中国企業に制裁を課すことに断固反対することを明らかにしてきたと述べ反論した。

(4月10日、記)
<関連情報>

オバマ米大統領のイラン向けビデオメッセージとハメネイ最高指導者の翌日の演説【3/24】

イランの核開発を巡る最近の主な動き<2月上旬~3月上旬>【3/10】

ハメネイ最高指導者の2006年の指示である国営銀行の民営化にようやく着手したイラン【2/20】

6月12日のイラン大統領選挙への出馬を正式表明したムハンマド・ハタミ元大統領【2/17】

2009年度は440億ドルもの大幅な赤字予算編成となりそうなイラン【2/13】

(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)