イラン:アハマディネジャド大統領の経済哲学
(2008年9月12日掲載)

 6月30日、「ア」大統領は待望の経済改革計画を明らかにした。その中で強調された政策課題は、

・エネルギー分野(ガソリン等)、医薬品やパンに対する補助金削減
・低所得層への救済資金の直接配分
・関税・税制度・保険制度の改革


 この計画が発表された1週間後の7月6日、「ア」大統領は100人以上のエコノミストを招いて政府の経済改革計画について話し合いを行った。


 この会合でエコノミストは行政府に対して次のような助言を行っている。その中で、政府の経済政策を、インフラ関連プロジェクトに巨額の資金を注ぎ込み、26%に近いインフレを誘発した政府の責任追及をした。この会合開催について評価する一方で、提供された資料が余りにも低レベルで、一般資料に毛の生えた程度のもの、と手厳しく評価が行われた。また、大統領に対して幾つかの助言の即実行を迫った。主な助言は、

・補助金の適正な使い方
・インフラ関連プロジェクト実施をスロー・ダウン
・高度な知識を持つ経済顧問を採用し、効率的な政策を策定させる
・類似機能を持つ幾つかの行政機関の統合
・矛盾の多い規則・規定の修正
・金融面での汚職対策
・民間部門を強化してイランの病んだ経済の活性化を図れ


 一連の話し合いの中で「ア」大統領がイメージする経済哲学は次のようなものであるらしい。

基本的な経済改革を行うためには国全体の協力が必要だ。改革計画の実施にあたりエコノミストも政府と一体となって協力を願いたい。

経済学教授や識者は改革実行に大きな役割を果す。

私の経済政策は非科学的かつ非現実的なものではない。経済学の核心を熟知しているつもりだ。

(現金支給という形の補助金政策は経済に害を及ぼすだけだ、という批判に対し)性急な決定を下すつもりはない。

(民営化や正義株の配布に関する政府の慎重さを欠いた行動に多くの批判が寄せられた。正義株は国営企業の民営化段階で放出される株式が低所得層や特権を持たない市民層に支給される株式)民間部門が強化される前の民営化は経済競争を促進するものではないことは認めるが、現在の政策を変えることはしない。

以上

(幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> )