国際金融危機の自国への波及防止に向けて資金注入・預金保護などの一連の対応策を発表したGCC諸国
(2008年10月31日掲載)

 サウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウェイトなどのGCC諸国は、過去4年の原油価格の高騰による石油収入の急増から在外資産の規模も急拡大した。最終的にはこれら在外資産がクッション役となることに間違いはないことから、GCC諸国がその他の新興国のような深刻な経済・金融危機に陥ることはないと言える。但し、現実には現時点においても、利益確保を狙った外資・国内投資家の株式売却による株価の下落、国内金融機関の資金供与の厳格化による流動性の不足及びそれを原因とする開発事業・建設事業の延期・縮小、或いは高騰した地価の下落の可能性などの課題を抱えているのも事実である。そこでGCC諸国は、国際金融危機の自国への波及防止に向けて、資金注入・預金保護など改めて以下にまとめたような一連の対応策を発表・導入している。


国  名 導入済み対応策
サウジアラビア
サウジ通貨庁(SAMA)による長期預金充当分として国内銀行へ30億ドルを資金注入。
サウジ最高経済評議会(SEC)による銀行預金保護の発表。
サウジ通貨庁(SAMA)による低所得者向け融資分としてのサウジ・クレジット銀行への26.7億ドルの資金注入。
サウジ通貨庁(SAMA)によるレポ金利の5.50%から5.0%への50ベーシス・ポイントの引き下げ及び銀行準備率の13%から10%への引き下げ。
クウェイト
デリバティブ取引で巨額の損失を計上したガルフ銀行の救済の一環としての銀行預金保護の発表。
クウェイト中央銀行による公定歩合の5.75%から4.5%への125ベーシス・ポイントの引き下げ及びレポ金利の3.5%から2.5%への引き下げ。
クウェイト投資庁による株価下支えのための資金注入(2.8億KD+10億KD)。
アラブ首長国連邦(UAE)
財政省による銀行への総額136億ドルの資金注入。
財政省みよる追加措置としての総額190億ドルの資金注入の発表及びその内の68億ドルの銀行への注入。
銀行預金保護及び銀行保護の発表。
UAE中央銀行による翌日物レポ金利の2.0%から1.5%への50ベーシス・ポイントの引き下げ及び緊急借り入れ金利の3.0%から1.5%への引き下げ。
準備金超過借り入れ金利の5%から3%への引き下げ。
カタール
カタール投資庁(QIA)による国内銀行向けの資金注入。注入額は各行の時価総額の10~20%で最大53億ドル。
カタール中央銀行による緊急時対応準備完了の発表。
バハレーン
バハレーン通貨庁(BMA)によるレポ金利の4.75%への50ベーシス・ポイントの引き下げ。
バハレーン通貨庁(BMA)による1週間預金金利及び一夜預金金利の25ベーシス・ポイントの引き下げ。現在、前者は1.75%、後者は1.25%。
出所:ロイター通信、2008年10月30日、に加筆のもの。

(10月30日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)