湾岸5カ国歴訪でGCC諸国の政府系ファンドに対米投資を呼びかけたロバート・キミッツ米財務省次官
(2008年10月31日掲載)

 ロバート・キミッツ米財務省次官は、2008年10月28日、ドバイで講演し、GCC諸国の政府系ファンドに米国経済を立て直すためにも対米投資を継続するよう呼びかけた。キミッツ米財務省次官はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、クウェイト、イラクの5カ国歴訪の一環としてドバイを訪問した。同次官は各国で財政相や政府系ファンド、その他投資機関と精力的な協議をこなしている。


 キミッツ米財務省次官はドバイの講演で、「我々は50年以上に亘り健全な商業目的で投資を行ってきた政府系ファンドが、こうした投資を引き続き行うことを期待する」「仮に、これら政府系ファンドが米国その他に投資すれば、それが世界経済への何よりの貢献となる」「我々は、商業目的の投資であり、政治目的でなく、安全保障上の懸念を惹起しない投資には開放的である点を明らかにしておきたい」と述べ、純粋に商業目的である限り米国は門戸を開放しているとして政府系ファンドに改めて対米投資を行うよう促した。


 キミッツ次官は「最近、26カ国の政府系ファンドとIMFの取りまとめた投資規範は、こうしたファンドに対する理解を高め、世界の金融の安定と国境を越えた資本の自由な流れに対して政府系ファンドが約束したことの重要性を示すものとなろう」「DPワールドによるP&Oの買収案件は、米国が投資に開放的であることや、教訓を取り込み前向きに対応することの重要性を米国の議員に認識させたのは明らかだ」「我々はGCC諸国の政府系ファンドが引き続き機会を探していると考える。米国外国投資委員会(the Committee for Foreign Investment、CFIUS)には政府系ファンドの投資に関する多くの事例がある」「2007年、外国勢による米国での買収は2000件あったが、このうちCFIUSの審査対象となったのは僅か125件の過ぎずそれらも全て承認された」と語り、今では米国も外国からの投資に一層理解を見せるようになっている点を例を挙げて説明した。


 その上でキミット次官補は「GCC諸国の対米投資は米国経済が成功を収める上で大きな役割を果たした」「中東・北アフリカの対米直接投資額は、2007年には70億ドルと2001年に比べて130%増(2.3倍)となった」と語り、如何にGCC諸国のオイルマネーが米国にとって重要であるかを改めて訴えた。さらに同次官は「GCC政策当局は、自国の信用市場の縮小や投資化の弱気の台頭に積極的に対処し、一連の包括的な政策を打ち出した」「GCCの政策当局は、レポ金利の引き下げ、銀行への資本注入、預金保証の発表などを行うことで、国際的な金融危機対策を補完した」「GCC当局のこうした政策は、市場に流動性を戻し、GCCや世界の金融市場における自信の回復に貢献するだろう」と続け、GCC政府が過去2週間余りで打ち出した国際金融危機への対応策を賞賛した。


 加えて同次官は「低油価は米国での低ガソリン価格を生み、米経済の成長を助けることになる」「米国経済を成長軌道に乗せる第一歩として金融市場の信頼の回復に努めている時に、米国民がガソリン・スタンドでこれまでより安いガソリンを購入できるというのは将来の成長にとって前向きな貢献となる」「勿論、我々は商品価格というものは、結局のところ開放的で競争的な市場で決められると考えるが」と述べ、原油価格の下落が米経済にプラスの影響を与える点を強調した。


 そして同次官は「米国は大変厳しい四半期を迎えるが、国際金融危機を克服するには集団的対応が必要である」「我々は例え自国経済を立て直しても、今のように相互関係が入り混じっている世界では我々の主要なパートナーにも(解決に向けた動きを)呼びかけねばならないことを知った」と語り、GCCも米国の重要なパートナーとして国際金融危機の救済に共に動くことを訴えた。


 加えて、キミット米財務次官は「UAEの開放的な金融市場は中東にとってお手本だが、現在の金融危機は何も米欧に限られたものではなくGCC諸国も影響を免れない」「UAEの開放性は世界経済の混乱に自国をさらすこととなったし、信用市場の変化はUAEのみならずGCC全般に影響を与えている」と続け、GCC諸国も国際金融危機の影響を受けざるを得ないので、さらにしっかりした対応をとることを訴えた。

(10月29日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)