国際金融危機に協調して対応することを確認したリヤドで開催のGCC財政相・経済相・中央銀行総裁会議
(2008年10月28日掲載)

 2008年10月25日にサウジアラビアの首都リヤドで開催されたGCC財政相・経済相・中央銀行総裁会議は、GCC諸国の円滑な銀行活動を阻害し株価の急落を引き起こしている国際金融危機に協調して対応することを確認し閉幕した。同会議では、GCC諸国の企業・機関・個人の各国金融市場に対する信頼を回復するために各国政府が採ってきた政策を見直すと共に、国際金融危機が各国企業・機関・国民に与えた影響を議論のうえ、信頼の回復に向けて協調して対応することを呼びかけた。


 会議終了後、アブドゥルラフマン・アッティーヤGCC事務局長は「財政相はGCC諸国の経済を保護するための協調メカニズムについて議論した」「今回の緊急会合の主要政策課題の一つは、6年に及び地域経済ブームを終焉させる恐れのある世界経済の減速へのGCC諸国の協調対応のあり方であった」と語り、国際金融危機への協調した対応が主として協議されたことを示唆した。


 主催国サウジアラビアのイブラヒム・アル・アッサーフ財政相は「発展途上国でも景気減速の兆候が見られるが、これはGCC経済に直接的・間接的影響を与えよう」「GCC諸国は全加盟国が一丸となってマイナス影響を除去し、政策協調により各国経済へのインパクトを低下させねばならない」「GCC諸国の経済は、神のご加護のお陰もあって、相対的な高成長と低下したインフレ傾向を示している」「世界経済の減速にも関わらず、GCC諸国の2008年の経済成長率は4~6%となろう」「仮に成長率が少し低下しても、石油部門の低下によるものである」「だが非石油部門は引き続き成長を続けるだろう」と語り、GCC諸国の経済成長率は若干低下するものの、それでも世界レベルでは高水準を維持するとの見方を示した。


 国際金融危機のGCC経済への影響を問われたユーセフ・カマル・カタール財政相は「GCC諸国は各国の法律及び強固な監視によりその他諸国が陥ったような危機となることを防止しえた」「このことはGCCでの投資に関して世界に再保証を与えたことを意味する」「危機の影響に対して既にGCC各国は発表済みの諸政策で対応している」「今回の危機は、単一通貨と危機を監視する唯一の中央銀行の必要性をGCC諸国に再認識させた」「会議では、国際金融危機に関連する幾つかの問題で、しかもGCCの役割に特に関連する問題も話し合われた」と語り、GCCの保有する海外余剰資産の今後の使い方も検討されたことを示唆した。


 会議後に発表された声明は「GCC財政相・経済相・中央銀行総裁は、各国の金融制度の安定性及び各国経済の強さに自信を示した」「GCC諸国の経済は引き続き成長するし、GCC諸国の銀行には十分な流動性があり、政府機関が引き続き危機を監視して行く」と述べGCC諸国の経済や金融制度への自信を示した後で、「国際金融危機は通貨同盟を早急に創設する必要性を示した」と述べ経済・金融・通貨面でのGCC諸国の統合を急ぐ必要性に言及した。


 尚、会議前に策定されていた政策課題は、①米欧経済の後退によるGCC諸国の国際収支へのマイナス影響への対応策(特に、GCC諸国の輸出・サービス部門の後退への対応策)、②金融部門に対する政府の役割の強化の程度、③海外投資政策の再評価、④国際金融危機の心理的インパクトによるGCC預金のパニック的引き出しへの対応策、⑤国際石油市場の安定化策、などを列挙していた。


 これらの政策課題を見ると、GCC諸国の政策当局が、海外投資家が自己の負債を補うためにGCC諸国にある資産を売却して自国に持ち帰るかもしれないと懸念していたことや、GCC諸国での懸念の高まりによって銀行預金のパニック的な引き出しが起きるかもしれないと恐れていたことが分かる。


 尚、GCC財政相・経済相・中央銀行総裁会議が開催された2008年10月25日には、ロバート・M・キミット財務次官がサウジアラビアの首都リヤドでアブドゥルアジズ国王と会談し、国際金融危機について協議している。同会議では、ブッシュ大統領の提唱した11月15日の世界金融サミットの開催を含む危機の押さえ込み策が主要議題であった。

(10月26日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)