チップ製造部門を分離してアブダビ政府系投資会社との新合弁会社に事業を移管するアドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)

(2008年10月14日掲載)

 米国半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(Advanced Micro Devices、AMD)は、2008年10月7日、ライバルのインテルとの競争の激化するなかチップ製造部門を分離(スピンオフ)してアブダビ政府系投資会社のアブダビ・テクノロジー・インベストメント(Abu Dhabi Technology Investment Company、ATIC)との新合弁会社に事業を移管すると共に、ATICから最大84億ドルの金融支援を受けることを明らかにした。AMDはここに来て、”Asset Light”(資産軽減)、”Asset Smart”(資産整理)との戦略に基づき、負債の大きい製造部門の一部を売却しチップの開発・設計に焦点を当てる経営を指向していた。その背景には、主力商品である超小型演算処理装置(MPU)の販売増を目指してきたものの、インテルとの競争が激しさを増し2008年7月に7四半期連続の赤字計上を余儀なくされたことに加えて、同社の市場シェアが約20%に留まるなど苦戦が続いていることがあった。


 経済多角化に向けた投資機関として新たに設立されていたATICは、AMDからチップ製造部門の大半を購入し”The Foundry Company“を新設する。ATICはこの新会社の運営費用として14億ドルの初期投資を行うほか、新会社の株式の55.6%の取得費用としてAMDに7億ドルを支払う。残る44.4%はAMDが保有する。尚、新会社の取締役はATICとADMが半数ずつ送り込む。さらにATICはADMのドレスデン工場の改修・拡張やニューヨーク州北部に新たに建設する半導体製造工場・開発センターなどに今後5年間で36億ドルから60億ドルを拠出する。またAMDの負債12億ドルも新会社に移管される。このほか、既に2007年11月15日付けでAMDの株式の8.1%を6億2200万ドルで購入しているアブダビの今一つの政府系ファンドのムバダラ開発が、AMD株を3億1400万ドルで追加取得し、出資比率を19.4%に引き上げることも明らかにされた。


 今回の一連の動きにより、AMDのヘクター・ルイズ会長は新会社”The Foundry Company“の会長に就任し、2008年7月から最高経営責任者(CEO)兼社長に就任したダーク・マイヤー氏が今後も同社の経営を見ることになる。また、The Foundry Company“の最高経営責任者(CEO)にはADMの製造部門の責任者であったダグ・ローズが就く。


 ATICのワリード・アル・モカッラブ・アル・ムヘイリ会長は今回のADMとの取引について、「今回の新事業を消化し終えた後に、さらなる拡大を考える」「我が社は何も半導体事業に限定して業務を展開するわけではない」「バイオテクノロジーであれ生命科学であれ、先端製造技術であれば投資して行く」と語り、ATICにとり初の大事業である今回の投資を成功させた上で、次の投資を検討する意向を明らかにした。尚、ワリード・アル・モカッラブ・アル・ムヘイリATIC会長はムバダラ開発社の最高執行責任者(COO)も兼務している。

(10月12日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)