テヘランに代表事務所を開設する米シンクタンク「米国イラン評議会」(AIC)
(2008年10月7日掲載)

 今般、米政府は米国のシンクタンクイランに事務所を開くことを許可した。米財務省が「米国イラン評議会」(AIC)がイランの首都テヘランに事務所を開くのを認めたもの。AICは両国関係の改善を目指して活動する政策提言型シンクタンクである。


 本欄でも記述したように(「核開発問題ほかを巡り水面下での秘密交渉の進展も囁かれる米国とイラン」、2008年7月22日掲載)、AIC理事長でラトガー大学中東研究センター所長のフーシャング・アミラハマディ氏が本夏イランを訪問し、アハマディネジャド政権の高官とイラン・米国関係について議論を戦わせた。因みに、フーシャング・アミラハマディ氏はラフサンジャニ元大統領時代及びハタミ前大統領時代に両国関係の改善に尽力したことで知られる人物である。


 そのフーシャング・アミラハマディ氏はこの夏のテヘラン入り直後に、「アハマディネジャド大統領が自分のテヘラン入りを知り、何をしているのかを問い支援してくれている」と語ると共に、最近のイラン国内の風向きの変化振りについて次のように述べていた。即ち、「最近のイランでは、米国と交渉するなとか、米国は敵であるとの姿勢がなくなった」「また米国の利益代表部設置案が出たことでイラン国民は興奮している」「元来、アハマディネジャド大統領は保守派であるとは言え、政権内で最も過激でも最も保守的でもない。もっと過激で保守的な人物は別にいるが彼らは政権に関与していない」「ラフサンジャニ元大統領の実務主義的運営、ハタミ前大統領の改革的動き、アハマディネジャド現大統領の保守回帰の動きを経て、イラン政府は今や実務主義的運営に戻るのが最善と感じ始めている」と(「核開発問題ほかを巡り水面下での秘密交渉の進展も囁かれる米国とイラン」、2008年7月22日掲載)。


 ところで米国務省の報道官は今般のAINのテヘラン事務所開設の動きについて、「開設の承認は米政府のイラン政策の変更のシグナルではない」と述べている。因みに、米国務省は米制裁下にあるイラン、スダン、キューバといった諸国での米NGOの活動に対する許可発行の権限を有している。


 ニュージャージー州のプリンストンにあるAICのブレント・ロリス専務理事は、ウエブサイトで、「今回の承認により我がシンクタンクは、イラン国内で活動する平和を目指し紛争の解決を求める唯一のNGOとなった」「我がシンクタンクは、政府高官、NGO高官、或いは両国民が、我々と共に、米国とイランの間での相互尊重の精神に基づくに合理的な直接対話を促進することを支援したいと願っている」と述べ、テヘラン事務所開設の意義を強調した。


 米政府高官も「イラン政権の孤立化を図るなかでのAICテヘラン事務所の開設は、両国の文化交流や相互理解に寄与しよう」とコメントし、両国民レベルでの関係の拡大に期待を示した。但し、AICが事務所開設の承認をイラン側から取得しているか否かは本稿執筆時点では依然不明である。

(10月4日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)