ドバイの開発事業を支える「陸のエマール」と「海のナキール」の国際金融危機への対応
(2008年11月14日掲載)

微調整の可能性を明らかにした「陸のエマール」


 エマール・プロパティーズのムハンマド・アリ・アッバール会長は、2008年11月9日、ドバイで開催された「世界経済フォーラム」で記者団に、同社の成長は続くものの、世界的な経済の減速とUAE、GCC諸国での流動性の縮小に合わせて事業を微調整するかもしれないとの考えを明らかにした。まず、アッバール会長は「我が社はあちこちで起きていることの影響を受ける」「我が社は世界で起きつつあることを注意深く観察している」「我が社は、ニューヨークやボンベイ、インドネシア、カイロなど一箇所で起きていることの影響を受けるわけではない」と述べ、世界18カ国で事業を展開しているので1各国だけの影響を受けるわけではないことを説明した。

 その上で同会長は「世界の景気が良くないのであれば、我が社の事業を守るための政策を講じるので、事業の見直しが必要ならば見直す」と語り、事業の縮小や延期もありうることを示唆した。さらに、エマールの株価がドバイ株式市場で年初来80%も下落していることを問われたアッバール会長は「GE株も、ジョンソン&ジョンソン株も下落している」「我が社も世界に属している」「(だが)必要な措置は講じねばならない」と述べ、必要とあれば株価対策も取ることを仄めかした。

 加えて、アッバール会長は「市場で何が起きているかを慎重に見極めなければならない」「顧客が資金借り入れで困っていれば融通したり、或いは我が社への支払いを先延ばしにするといった支援も必要になる」と語り、臨機応変に対応することを説明した。最後に、「今のような市場の利点は投機が消えることだ」「それは素晴しいことだ。我が社の事業は最終需要家向けのものであって投機家向けではないのだから」と結び、国際金融危機の波及は不要な投機を払拭するという利点もあることを強調した。


パーム・デイラ事業の推進を約束した「海のナキール」

 他方、ドバイ・ワールドのスルタン・ビン・アフマド・ビン・スレイヤム会長は、傘下のナキールが進めるパーム・デイラ事業は元々完成年が2014年であるので噂のように中断されることはないと語り、予定通りに着々と進めることを明らかにした。スルタン・ビン・アフマド・ビン・スレイヤム会長は「市場では中断したとの噂もあるようだが、我が社は事業を続けていると今ここで言っておきたい」と述べ、パーム・デイラ事業は中断されたのではとの噂を完全否定した。

 さらに同会長は「ナキールは目的の達成に向けて全事業を推進する」「世界の信用の縮小は循環的なものであり、いつでも起きている」「それはナキールで対処できる類のものである」と述べ、信用縮小の影響に十分対応できることを強調した。その上で同会長は「我々は未来を予測することは出来ないが、2009年第1四半期には売り出そうと考えている」「我々は、2009年第1四半期になれば市場も上向きに転じるとの感触を抱いている」と語り、あと数ヶ月で市況も上昇に転じるとの見方を示した。

 デベロッパーは事業の当初計画に固執すべきと考えるかとの記者からの問いには、「一つのマスタープランのみを持ち、それに固執することはできない」「市場次第で常に調整できる」と答え、やはり状況に応じて当初の計画を変更しうることを説明した。


(11月10日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)