アブダビ、シンガポールと9項目の相互投資指針で合意した米財務省

(2008年3月25日掲載)

 米財務省は2008年3月20日、アブダビ及びシンガポールと両国の政府系ファンドの対米投資に関して9項目の相互投資指針で合意したことを明らかにした。サブプライム・ローン危機で揺らぐ米国の金融機関の救済には外国の政府系ファンドからの資金導入が不可欠と考える米財務省は、米議会がこれら政府系ファンドによる対米投資に神経を尖らせ必要以上の規制に走ることを懸念し、アブダビ、シンガポール政府及び両国の政府系ファンドと投資指針の作成で調整に当たっていた。


 ヘンリー・ポールソン米財務長官が、米財務省で、シンガポールのサルマン・シャンムガラトナム財務相、トニー・タン・シンガポール投資公社(GIC)副会長、アブダビのハマド・アル・フール・アル・スウェイディ・アブダビ執行委員会委員、ハレブ・マスード・アル・ダルマルキ・アブダビ投資庁(ADIA)専務理事との協議後、米財務省がアブダビ及びシンガポールと両国の二つの政府系ファンドの対米投資について9項目の相互投資指針で合意したことを明らかにしたもの。


 発表に当たったポールソン米財務長官は「米国は政府系ファンドによる投資を歓迎し、これら両国ほかとIMF及びOECDが進めている政府系ファンドと投資受入国の双方にとって最善の投資指針の作成をするとのイニシアチブを継続的に支援して行きたい」と述べ、今回の米財務省とアブダビ、シンガポールとの合意がIMF、OECDが進める指針作りの叩き台となることに期待を表明した。


 またポールソン米財務長官は「3カ国政府は政府系ファンドの投資が、当該国の地政学的戦略によるものではなく、商業的理由によるものであるべき点で合意した」「政府系ファンドが融資・投資目的を一層明確にする必要があり、リスク・マネージメントを厳格に実施すると共に、投資受入国の法律を尊重することでも合意した」と説明した。以上のほかにも今回合意された投資指針には、投資受入国は外国投資に対して保護主義的な障壁を設けるべきでなく政府系ファンドを差別してはならないとの項目も入っている。


 記者団へのブリーフィングに当たったクレイ・ロウリー米財務長官代理(国際問題担当)は「アブダビとシンガポールの政府系ファンドは、特に今回の合意にとって望ましいパートナーであり、彼らを追い出すようなことはしない」とコメントしている。ポールソン米財務長官も声明の中で「アブダビとシンガポールの政府系ファンドは歴史も古く尊敬されているファンドであり、今回の我々との合意に際しても指導力を発揮してくれた」と述べ賞賛している。


 他方、シンガポール財務省も3月21日、声明を発出し、「シンガポールは合意を歓迎する」「理由はグローバル化した経済にとって開放的投資環境が肝要であり、全ての当事者の利益に適うからである」と述べ、米財務省が投資受入国としての指針でも合意した点を評価した。尚、今回の交渉に当たった米高官は、一連の動きについて、「相互的な再保証の過程の一こまである」とコメントしている。

(3月22日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)