サウジアラビアの許容する下限油価は60ドルと見る英国の石油専門家

(2008年7月22日掲載)

 英国の石油専門家がサウジアラビアは原油価格の下限を1バレル60ドルとする産油政策を追求しているとの自説を展開している。こうした見方を打ち出したのは、ロンドンの世界エネルギー研究センター(CGES)のレオ・ドゥロラス副所長である。レオ・ドゥロラス副所長は、サウジアラビアがこの下限価格以上に原油価格を維持するために、2006年4月から2007年4月にかげて100万B/D超も減産したと論じている。


 同副所長は「サウジアラビアの産油量は2006年4月に激減し、同年7月から8月にかけては(国内の)発電需要の増大という夏場の季節的要因から増産した。その後、2007年4月まで低生産量を維持した。この間の減産量は100万B/D超に達した」と世界エネルギー研究センター(CGES)の刊行物で述べている。


 さらに同副所長は「サウジアラビアの生産量はそれ以降、増加した。それはOPECバスケット価格が60ドル超になった時期であった。サウジアラビアは、勿論高価格を好んではいるものの60ドルが政策上の下限であるように思う」「サウジアラビアは2007年12月以降、生産量をほぼ横ばいにしていたが、2008年4月に再度落とした」と述べ、サウジアラビアが原油価格の動きを見ながら生産量の増減を繰り返してきたと推論する。


 加えてレオ・ドゥロラス副所長は、サウジアラビアの限界供給原油である重質油の価格の値引き具合を見ていれば同国の産油政策の変更振りが分かると説く。同副所長は次のような具体例を挙げている。即ち、「サウジアラビアの重質油の価格は2007年5月から12月にかけて大きく値引きされたが、2008年1月、2月には値引き幅は縮小された」「つまり、この時期サウジアラビは米国の景気後退の影響が原油需要に及ぶことを懸念して産油量を抑制したのであろう」「しかし、2008年3月、4月の積み出し分では値引き幅が拡大された」と。


 尚、世界エネルギー研究センター(CGES)は2008年6月に出した別の調査報告書では、サウジアラビアの2008年度の予算は45ドルを前提に作成されたとしていた。但し、債務を全て返済し、100億ドルの特別政府支出計画を賄うには原油価格は62ドルでなければならないと推計していた。

(7月7日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)