マリキ首相の来訪に合わせて対イラク債権を全額帳消しにし大使も任命したUAE
(2008年7月8日掲載)

 アラブ首長国連邦(UAE)の国営通信WANは2008年7月6日、「シェイク・ハリーファ・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン大統領が債権の帳消しでイラク経済の負担が軽減されることを望むと述べた」「UAEの対イラク債権は金利・延滞金を除けば40億ドルである」と伝えた。但し、UAE政府高官は匿名を条件に、UAEの対イラク債権は金利・延滞金を含めて約70億ドルに達することを明らかにした。この発表はマリキ・イラク首相の二日間のUAE訪問に合わせて発表された。


 イラクはそれまでにパリ・クラブ分の432億ドルを含めて約665億ドルの債務を帳消しされているが、それでもサウジアラビアやクウェイト向けを中心に依然800億ドルの債務が残っている模様である。イラク政府はその中の少なくとも670億ドル相当の帳消しを訴えてきた。米国は親米アラブ諸国にイラク債権の放棄と外交関係の正常化を求めてきており、2008年5月下旬にはロバート・キミッツ財務副長官が再度強く要請していた。2006年5月以降、その座にいるイラクのマリキ首相は訪問中のアブダビで地元のビジネスマンを前に、「債権の帳消しに感謝する」「迅速且つ勇気ある決定であった」「今や我々の大きな課題は、経済の再建・復興であり国民への基礎サービスの供与である」と語り、UAEの決定に改めて感謝の気持ちを述べた。


 またUAE閣議は同日、駐イラク・UAE大使に現在のアブドゥラ・イブラヒム・アル・シェッヒ駐インド・UAE大使を任命することを決定した。イラクのUAE大使館は2008年末を目途に再開する予定である。UAEは2006年5月、イラク駐在のUAE外交官がイスラム原理主義勢力に約2週間誘拐されたことから外交団を本国に引き上げていた。尚、駐イラクのイハブ・アル・シェリフ博士・エジプト大使が誘拐され殺害された2005年7月以降、イラクにはアラブ諸国の大使は赴任していない。同事件では、アル・カイダが、エジプトの外交政策が偏向しており同国が米国、イスラエルと同盟関係にあるので駐イラク大使を殺害したとして犯行声明を出している。UAEのシェイク・アブドゥラ・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン外相は約1ヶ月前の2008年6月上旬、2003年のイラク戦争開始後、GCC諸国の外相としては初めてイラクを訪問していた。但し、GCC以外ではシリアとヨルダンがイラクに外相を送っている。


 駐イラク・UAE大使に任命されたアブドゥラ・イブラヒム・アル・シェッヒ駐インド・UAE大使はガルフ・ニューズ紙(2008年7月6日付)の電話インタビューで次のように抱負を語っている。即ち、「私はシェイク・アブドゥラ・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン外相の6月のバグダッド訪問の数日後にイラク大使への転任を告げられた」「イラク大使に任命されたことを幸福に思う」「私は目の前に横たわる厳しい業務を認識しているが、自身をタフに業務をこなす男と自負している」「イラクの安定回復のために全力で勤務したい」と。

(7月7日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)