原油価格の下落がイラン経済に大きな影響を与えていることを初めて公式に認めたアハマディネジャド大統領
(2008年12月5日掲載)

 イランのアハマディネジャド大統領は、2008年12月2日、国営テレビ放送とのインタビューで、原油価格の下落が同国経済に大きな影響を与えていることを初めて公式に認めた。また同大統領は、原油価格の急落のためにイラン政府が痛みの伴う歳出削減を余儀なくされることも明らかにした。原油価格は2008年7月のピーク時に比べて約60%も下落している。


 アハマディネジャド大統領はインタビューで、「イラン政府は2009年度予算の策定に当たり石油収入の見通しを引き下げざるを得ない」「我々は予算編成の前提とする原油価格を1バレル30ドルから35ドルとせざるを得ない。何故ならば、世界市場で決まる原油価格を我々が決定することは出来ないからだ」と続け、2009年度予算では30ドル台前半の原油価格を前提とすることを示唆した。イランの国内紙Poulは、2008年12月2日、同国政府と議会の計画予算委員会が2009年度予算の前提となる油価を1バレル45ドルとすることで予備合意したと報じていた。


 アハマディネジャド大統領は国内で高まる経済政策への批判を何とかかわしてきたが、インフレ率が約30%まで高まったほか失業率も約10%に達しており、国民の不満は高まる一方である。こうした国内の空気を読むように、2008年6月の大統領選挙ではアハマディネジャド大統領の強力なライバルの一人と目される穏健保守派の聖職者であるハサン・ロウハニ元核交渉責任は、イラン経済が問題を抱えており国民は益々貧しくなってきたと批判している。その他の候補者も、高油価の時代にこそ将来の不況に備える施策を打っておくべきであったが怠ったとしてアハマディネジャド大統領の財政散布型の経済政策を批判している。


 イランの政治評論家ムスタファ・ミルザイアン氏は、「大統領の経済政策は中間層の不興を買っている」(AP通信 2008年12月3日)とコメントする。アハマディネジャド大統領は支持をつなぎとめようと、「世界景気の後退から原油価格は暫くの間低下する」「だが政府は影響を管理できるし貧困者への直接支払いは続ける」と述べ、大幅な補助金支出は変更しないことを説明している。但し、同時に、「国家をより良く運営するには、低価格のエネルギーに税金を課すのが最善である」とも述べ、エネルギー補助金を削減する可能性を示唆している。因みに、イランは国内の精製能力が十分でないため、毎月3.5億ドルもの石油製品の輸入を余儀なくされている一方、国内の石油製品販売価格は低位に抑制してきた。

(12月4日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)