シェブロン、中立地帯のWafra油田の権益更新

(2008年8月26日掲載)

 
サウジアラビアとクウェート両国が合意

 Chevronは子会社Saudi Arabian Chevron Co.を通じてサウジアラビアとクウェートの中立地帯(PNZ; Partitioned Neutral Zone)の陸上Wafra油田で原油生産操業を行っているが、2009年に権益期限が到来することで、契約更新か失効かでその帰趨が注目を集めている。7月14日、Chevronの権益を更新することでサウジアラビアとクウェートは合意した、という報道があった。両国で権益更新に関する批准が行われていないが、報道による更新の概要は次の通り。


✦ 更新契約の権限

 今回の両国の合意に基づき、閣議は石油相に対してサウジアラビアとSaudi Arabian Chevron Co.との間の権益更新と契約条件の修正に関する契約書に調印する権限を石油相に付与する決定を行った。


✦ 契約期間

 更新期間は約30年。


✦ 蒸気注入技術の導入

 この権益更新の契約書には蒸気注入技術の導入が条件として記載されることになっているという。この技術はChevronが重質油開発で持つ最新技術といわれている。炭酸性石灰質の油層に高熱の蒸気を注入して重質油の産油量を増やす技術。蒸気は石灰岩を溶解するもので、同社は2006年から35百万㌦かけて実験的に小規模な開発(生産量を28万b/dから30万b/dに引上げ)に着手し、ほぼ成功させた。これまで蒸気注入に夜増産に成功した事例はない。

 この成功により2009年第一四半期にシェブロンは3.5億㌦のさらに大規模な開発を計画しており、承認を受けている。Wafra油田の未開発重質油鉱区から商業ベースで新たに30万b/dの増産するには5年かかるものとみられている。石灰質の油層は中立地帯の北と南に延びている。Chevronの新技術はAPI 20°以下でも対応が可能とされ、本格的な操業に入れば、現行の油層から貧弱な原油回収率10~20%であったものが2~3倍に飛躍的に増加するとみられている。

 今回の権益更新にあたり、新たな蒸気注入技術を用いて既存鉱区や未開発鉱区の重質油を開発するためのプロジェクトにゴー・サインを出したものとみることが出来よう。この技術によりこの地域の重質油層の探査が進み、将来数十億㌭の埋蔵量が加わってくることになる。


✦ Wafra油田

推定可採埋蔵量 30億㌭
操業社 Saudi Arabian Chevron Co.
生産能力 28万b/d
権  益 1970年代サウジによる石油産業の国営化の中でアラビア石油のカフジ油田と共に生き延びてきた外国石油会社による上流部門の契約。
現在、Chevronの契約は石油開発分野の唯一の契約。
この権益保有は当初のGetty Oil→Texaco(1984年)→Chevron(2001年)という変遷を経てきた。


✦ その他

 2000年2月、アラビア石油はカフジ油田の権益更新が認められなかったが、技術面からみた場合、シェブロンが更新できるのはこれまでいい仕事をやってきたことと蒸気注入技術をもっていたからだ、という人もいる。

以上

(幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> )