![]() |
||
|
||
| (2008年8月19日掲載) |
||
7月8日付Financial Timesはイラン国営石油会社の人事異動・退任に関連してアハマディネジャド(以下「ア」)大統領がこれまで強調してきた“石油マフィア”は結局のところ神話のようなものだ、今回の人事をみればわかってくる、報道している。以下はその内容。 ◆ 石油マフィアは神話 「ア」は大統領選挙に名乗りを挙げるまではイランの政治エリートとは程遠いアウトサイダーとみられていた。だから選挙で「汚職と戦う」と公約したことで信頼に足る人物だとみられた。その後、3年経過したが2007年度だけで700億㌦を生み出す石油省での“マフィア問題”を追及しているような形跡はない。石油省の元高官は次のように語る、「イランでの石油マフィア問題はイラクにおける大量破壊兵器(WMD)問題のようなものだ。米国がWMDを見つけ出せなかったように、「ア」大統領もまた存在しないマフィアを見つけ出せなかったのだ。 ◆ 人事異動 7月7日、国営石油会社(NIOC)で注目すべき人事があった。この人事を含めて石油省関連の人事をみるとマフィアが神話であったことがわかってくる。イランの石油政策に大きな影響を及ぼしてきた今回の人事をみてみよう。特に、Ghanimi-Fardの異動は、大統領及びそのグループによる石油省の支配について国内では新たな論議を呼びそうだ。 ✦ Hojatollah Ghanimi-Fard (異動) NIOC国際問題担当執行役員で7月7日更迭。NIOCで24年にわたり原油販売部門の責任者としてこのポストを占めてきた。懸案中のIPI計画の交渉責任者でもあった。今回の異動で別の部署へ移された。 ✦ Ali-Asghar (昇格) 7月7日、Ghanimi-Fardの後任として就任。過去2年間、Ghanimi-Fardの部下として勤めてきた。「ア」大統領の共鳴者とみられている。彼の職務(Director of International affairs)は原油の販売とガソリンの購入であり、石油省の中で技術的かつ重要なポスト。石油省の中では知名度はない。52歳。石油省での28年の経歴の中では、原油価格の分析、原油販売の専門家。国際市場から部品購入などを担当してきた。 ✦ Hossein Kazempour (退任) 長期間、イランのOPEC代表を務めてきた。2ヶ月前退任。相対的に改革志向の政治的性格を持った彼の場合、原理主義的な政府とは相容れないものがあった、とみられている。 ✦ Majid Razavi-Hedayatzadeh (退任) スイス・ローザンヌの本拠を置き、イラン・エネルギー関連プロジェクトの資金調達を担当してきたNICO(Naftiran intertrade Co.)の社長であった。今回の異動で退任。後任はMohammad-Javad Asemipour。知名度はあるが、石油部門の経験はない。 今回の2名の異動と退任は重要な人事案件であったが、所謂、石油マフィアと関連付けられるものではない。石油省で「ア」の影響力を強めるだけに過ぎないものだ。「ア」の石油省支配をめぐり2005年、議会により3度阻まれてきた。大統領の反対派は石油及び銀行部門で抵抗してきた。 昨年、ノザリ石油相の就任に伴い、同石油相を見張るためAli Kordanを次官に据えたことにより、Ali Kordanは影の石油相といわれてきた。今回の異動についてKordanは「石油省からマフィアを排除する」と語っている。専門家に因ればKordanが石油省を牛耳っており、ノザリは大人として振舞っているだけだと分析する。Kordanの現在の職務は原油販売と原油生産減少率の補填。国際的な制裁の中で補填率の改善は実現しそうにない。 大統領は石油マフィアを探している反面、大統領批判派は「ア」政権がアジア企業(中国など)との幾つかの契約には問題ありとみているのである。 |
||
| 以上 |
||
| (幹事 中嶋 猪久生<なかじま・いくお> ) |