カダフィ大佐の省庁等の廃止発言で役割を高めそうな民間部門

(2008年4月1日掲載)

 リビアのカダフィ大佐は2008年3月2日、シルテで開かれた議会に相当する全国人民会議で次のように述べ関係者に衝撃を与えた。カダフィ大佐の当日の発言は凡そ以下のように整理できる。


リビア国民は、官僚主義に陥りしかも腐敗まみれとなっている多くの省庁に長きに亘り不満を抱いてきた。
国防省、内務省、外務省やグレート・マンメード・リバー(GMMR)、空港・道路建設といった戦略的な事業を担当する組織を除いて省庁は廃止されるべきである。
内閣は国家の巨額の石油収入の適切な運営に失敗してきたので必要ない。大規模事業は何れも予定から大幅に遅れているのだから、一般国民が石油収入を分配する新たな方法を作り出すべきである。
全ての国民が石油資金から利益を享受する権利を有している。国民は石油収入を手にして好きなことをすべきである。


 この衝撃的な発言からほほ1ヶ月が経過したが、リビア国内外では、結果的には今後民間部門の役割が高まるとの見方に収斂しつつある。例えば、リビアのために国家経済戦略をまとめたモニター・グループのラジーヴ・シン・モラレス上級パートナーは「これは戸惑うべき演説ではない」「この発言には、政府の意思決定をもっと効率的にして、110ドルにも達した原油価格の富を異なる形で国民の意味ある生活に活かすべきとの思いが込められている」と分析する。


 実際衛星放送やインターネットを通じてアラブのその他産油国のライフスタイルを知ったリビア国民は同様の生活を求めているし、民間部門は、政府の役割は経済面での意思決定ではなく規制の役割に徹すべきとの思いを強めている。ロンドン在住のリビア専門家でもあるサアド・ジェバール弁護士は「国民は、公益事業、教育、運輸、保健等に共通する腐敗や透明性の欠如、非効率を終わりにしたいと思っている」「リビアは大変革が必要だが、現在それを成しうる力を持つのはカダフィ大佐しかいない」と解説する。


 先に紹介したモニター・グループのラジーヴ・シン・モラレス上級パートナーも「単に雇用を創出するだけではなく、事業を開始する国民が投資資金を入手できるようにしようとの試みもある」「民間部門が取り扱うことの出来なかった部門への参入が認められる日もそう遠くはあるまい」「政府の活動の中には民間部門からシャットアウトされるものも出てこよう」と語り、民間部門の活動領域の拡大を予想している。


 実際、3月下旬に発出された声明は次のように述べている。即ち、「新たに設立された委員会は、国家機関の能力の向上を図り、国民と国家の関係を組織化する」「新委員会はサービスを組織化する役割を担うものの、サービスを提供する役割は行わない」と。

(3月31日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)