投資ファンドの設立で合意したアブダビの国際石油投資会社(IPIC)とカタール投資庁(QIA)
(2008年4月1日掲載)

 アブダビ政府所有の国際石油投資会社(IPIC)とカタール投資庁(QIA)は、2008年3月下旬、国際的な買収を行うための総資産20億ドルの新投資ファンドを設立することを決定した。出資額はIPICとQIAの折半でそれぞれ10億ドルを拠出する。カデム・クベイシIPIC常務理事は、2008年3月25日、ロイター通信の電話インタビューで新投資ファンドについて次のように述べている。


 まず同常務理事は「我々は原油、石油化学を含むあらゆる部門への投資を考えている」「新投資ファンドは6ヶ月以内に操業を開始しよう」「利益を生み出し付加価値を高められるならば世界のどこにでも投資する」「つまり、中東、アジア、アフリカ、欧州、米国のどこへでも投資するということだ」と述べ、投資資産対象についても投資対象地域についても制限はない点を強調している。さらに同常務理事は「現時点では特定の対象案件があるわけではない」「我々は第一号の投資案件に関しては保守的に行動し注意深く実施する」「最初から攻撃的というわけにはいかない」と続け、当初は慎重に投資対象を見極める姿勢を取る旨、説明している。


 QIAはカタール政府の所有する、いわゆる政府系ファンドで総資産は600億ドルと推計されている。他方、国際石油投資会社(International Petroleum Investment Co、IPIC)は、1984年に、アブダビ石油社(ADNOC)とアブダビ投資庁(ADIA)が50%折半出資で設立した海外での石油・天然ガス事業への投資を行う政府系投資機関である。投資総額の詳細は不明だが、2007年秋時点では100億ドル超に達したと推計されていた。


 今回の新投資ファンドの設立について、ドバイのシンクタンクの湾岸調査センター(GRC)のイラク人専門家ムスタファ・アル・アラーニ氏は天然ガスを巡る双方の思惑が絡んだものと解説している。即ち、需要の急増する発電用、産業用に新たな天然ガスの輸入が必要なアブダビと、オイルマネーで高成長を続ける近隣諸国も顧客として天然ガス輸出を図りたいカタールとの利害が一致した結果、両国の関係の深化・強化を図る一環として今回の投資ファンドの設立に至ったとの見方である。因みに、カタールは昨年、同じアラブ首長国連邦(UAE)のドバイとも利害の調整を図る意味もあって別途合弁投資ファンドを設立することで合意している。

(3月25日、記)
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(幹事 畑中美樹<はたなか・よしき>)